2016 Fiscal Year Annual Research Report
The Reception and Influence of Classical Japanese Literature within Christian Writings: A Comparison of Narrative Tales
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15K12851
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
土屋 有里子 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (70339620)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | キリシタン文学 / サントスのご作業 / 聖人伝 / 聖フランシスコ / ド・ロ神父 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、『サントスのご作業』を対象として翻訳の問題を考察した。特にアッシジの聖フランシスコ伝に着目し現代語訳したうえで、フランシスコの異なる伝記を比較検討し、仏教語や日本古典文学作品関連の用語の使用状況を調査した。フランシスコ伝については二回にわけて現代語訳を公開した。 また当時日本のキリスト教布教に最も力を持っていたポルトガル人宣教師とキリシタンの関連性を調査するため、ポルトガルにて現地踏査を行った。ポルトのサン・フランシスコ教会における日本の二十六聖人関連壁画、リスボンの国立古美術館における日葡交流の重要な資料、エヴォラにおける天正遣欧少年使節に関わる遺物を確認できたことが特筆されるが、その他にも文学読解に必要な様々な知見を得ることが出来た。 また鹿児島と長崎において、キリシタン関連の教会施設を実地踏査することができた。長崎では、二十六聖人記念館、大浦天主堂資料館、出津文化村、外海歴史民俗資料館において多くの資料収集を行ったが、特に19世紀のフランス人宣教師であるド・ロ神父が書いた「ド・ロ版画」について実物の確認と資料収集が出来たことは大きい。「ド・ロ版画」解読は、キリシタンの来世観を知る重要な手がかりであるため、今後より詳細な調査が必要であるが、現地にて研究協力者を得ることができたのも、今回の踏査の成果であった。 以上のように、『サントスのご作業』や教義書を中心とした文献の地道な読み取りと、「ド・ロ版画」等の周縁資料の調査を並行して進めることが出来たことは、今年度の研究の大きな成果であった。ただ成果発表の面が追いつかなかった部分があるので、研究期間終了後も引き続き研究を進め、順次成果を発表していきたいと考えている。
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Research Products
(6 results)