2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Birth of the College Novel: Sentimentalism and male authors of the 19th Century
Project/Area Number |
15K12857
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大野 瀬津子 九州工業大学, 教養教育院, 准教授 (50380720)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大学小説 / 大学 / 19世紀アメリカ / 大衆小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究を通して明らかになった本研究の目的――大学とは何かという喫緊の問題に応答する形で大学小説研究を立ち上げること――に沿って、下記のような取り組みを行った。1)アメリカ最初の大学小説、ナサニエル・ホーソーンの『ファンショー』(1828)が、大学人と村人の協働関係を大学共同体の理想として描いていることを明らかにした。この成果を、日本アメリカ文学会第56回全国大会(平成29年10月14日@鹿児島大学)で、「大学は役に立つのか――Nathaniel HawthorneのFanshaweにおける学知と世間知」との題名で行った個人研究発表で公開した。2)1844年に出版された大衆小説二作、ハリー・ヘイゼルの『ボストンの美女――あるいはケンブリッジのライバル学生たち』、チャールズ・ベイリーの『矯正された学生――ある大学生活の物語』を取り上げ、前者が大学のレトリック教育の有用性を認める一方、後者が孤独な内省に不向きな集団主義の場として大学を批判していることを明らかにした。この成果を、2017年度金沢大学英文学会総会 (平成29年12月2日@金沢歌劇座)で、「19世紀中葉のアメリカ大衆小説における大学と法律」との題名で行った講演で公表した。3)日本シェリング協会大会シンポジウム「シェリングの時代の大学論と現代」(平成29年7月2日@九州大学箱崎文系地区)、東アジア学会第74回研究会シンポジウム(平成29年8月25日@西南学院大学)、大学改革に関するシンポジウム「自由・競争・参加――大学改革からの問題提起」(平成30年2月17日@広島大学東千田キャンパス)などの学術イベントに参加し、大学論や大学改革をめぐる状況について知見を広めた。4)大学論、大学研究、科学史研究等に関わる文献を渉猟し、現在の大学や学問が抱える問題について理解を深めた。
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