2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12858
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
石川 隆士 琉球大学, 法文学部, 教授 (60315455)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | English Literature / Aeolian harp / Gyre / Labyrinth / Yeats / Ireland / Celt / Romanticism |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は1.「イオリアの竪琴」に代表される自然の弾き手によって奏でられる竪琴という修辞がW.B.イェイツの詩に特徴的な「螺旋」が新たなる生成的調和の自己言及的な修辞として前景化されたということ、2.その生成的調和の修辞たる「螺旋」がヨーロッパ文化の基層をなすケルト文化と符合していることの二点を明らかにすることであるが、1については風と螺旋が結合する“the labyrinth of the wind”というW.B. Yeatsの修辞を迷宮についてのドイツ語文献を研究補助者の翻訳の手を借りながら、文化人類学的な観点から追究した。その結果、Yeatsの螺旋の修辞が一元的世界観から、多元的な世界観への変容を示すものであるという結論に至り、その結果を2005年10月に第一回International Yeats Society国際カンファレンス(於University of Limerick, Ireland)にて “The Labyrinth of the Wind: The Sacred Spiral of Death and Resurrection”と題して研究発表を行い、2016年1月に同学会のジャーナルに研究論文として投稿した。現在、審査委員会の意見を受け、修正を行っている。2に関しては英国University of Edinburgh、University of Readingでの文献調査により、20世紀への転換期における、スコットランド、アイルランドにおけるケルト文芸復興の中で、ケルト的螺旋が象徴的な役割を担っていたこと、その時期がYeatsが風と螺旋の修辞を結びつけていく時期と符合しているということが確認でき、Yeatsの立体的な螺旋が、2次元的なケルトの螺旋文様と深く関連していることについて、上記論文に推論として提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画として提示したInternational Yeats Society国際カンファレンス(於University of Limerick, Ireland)での研究発表、 Ireland、University of Edinburgh、University of Readingでの一次資料調査は予定通り実施された。日本イェイツ協会での情報収集については日程が合わず参加できなかったが、委員会を通じて情報収集は実施できた。論文執筆についても予定通りである。さらに、本研究の成果を発表するために2016年7月に予定されているIASIL (The International Association for the Study of Irish Literatures)での研究発表が承認されているという点で、予定より進んでると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に示した通り、当初計画より研究は進んでいるため、特に計画についての変更は行うことなく、研究発表等で得られる新たな視点を研究内容に盛り込むことにより、より充実したものにしていきたい。
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Causes of Carryover |
外国書籍、図書貸借において費用が事前に確定しにくいものがあり少額の端数が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度分に合算してその他(図書貸借費用)に充てる。
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Research Products
(2 results)