2016 Fiscal Year Annual Research Report
The Aesthetics of (Im)personality: E. M. Forster and Virginia Woolf
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15K12861
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩崎 雅之 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (00706640)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | モダニズム / ヴァージニア・ウルフ / E. M. フォースター / イングリッシュネス / 野外劇 / ヘリテージ映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年に当たる2016年度においては、まず1930年代からWoolfとForsterが関心を寄せていた野外劇を通じ、変容していくイングリッシュネスとの関係で、「わたし」と「わたしたち」がどのように表象されているのかを考察した。具体的にはWoolfのBetween the Actsにおける野外劇の形式の使用と、登場人物が動物化していく「生成変化」の結び付きを分析した。この作品において、Woolfは人間と非人間的なものの差異を越えた、新たな共同体の創出を試みていたことが明らかになった。この研究成果は『ヴァージニア・ウルフ研究』第33号に掲載された。また、“What Lies between the Acts? Woolf, Deleuze and Pageant”と題し、国際学会 The 3rd Korea-Japan Virginia Woolf Conference 2016において口頭発表を行ない、様々なフィードバックを得た。 さらにイングリッシュネスの変容を詳しく論じるために、1980年代から盛んに製作されることになったヘリテージ映画における「わたしたち」の表象を分析した。具体的にはヴァージニア・ウルフ協会において「『インドへの道』とヘリテージ映画におけるイングリッシュネス」と題して発表した。ヘリテージ映画としての『インドへの道』は、不安定な1980年代イギリスの状況を反映し、デイヴィッド・リーンの手によって、現代イギリス人が受け継ぐべき遺産へと翻案された。原作との大きな変更点としては、アジズとフィールディングの関係ではなく、アデラ・クウェステッドが中心的人物となっていることである。結果としてフォースターのナラティヴが、リーンのpersonalなナラティヴに変更されたことが明らかになった。
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