2017 Fiscal Year Annual Research Report
Neoliberal Space-Time and Literature/Film/Contemporary Art as Its Cognitive Constellation
Project/Area Number |
15K12871
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉本 光宏 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (80596833)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポピュラー文学 / SF / 美術館 / 新自由主義 / 都市空間 / グローバリゼーション / 惑星的 / ハリウッド映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究最終年度の平成29年度も、現代の芸術や文化と新自由主義的時空間の関係性について多面的な分析を行った。昨年度の研究活動の結果、新自由主義がグローバルに支配的な文化状況をより深く理解するためには、当初設定したよりも研究範囲を拡大する必要性が明らかになったわけだが、本年度はその結果に基づき、新自由主義的時空間と映画・視覚文化・文学の関係を理論的に分析した文献に加えて、エコロジーや惑星的視点に問題関心の射程を広げて研究書や論文を集中的に読み進め、「挑戦的」という本研究のカテゴリーにふさわしい新しいアイデアや研究の種を多数見つけることができた。さらにポストモダン建築としての美術館と伝統的都市空間の相互関係性を調査するフィールドワークを、平成29年8月に金沢、11月にヘルシンキ、平成30年2月にスペインのビルバオで行った。一方こうしたフィールドワークと並行して、これまでの研究の部分的成果や仮説の有効性を確かめるために、さまざまな場所で口頭発表や講演を行った。平成29年6月に韓国の高麗大学で開催されたアジア学会AAS-in-Asiaにおいて、おもに伊藤計劃の小説の分析を通じて、新自由主義的状況におけるSF小説とユートピア/ディストピア・イメージについて考える論文を発表した。11月にはベルギー自由大学で、新自由主義とデジタルメディアが生み出す仮想空間における民主主義の可能性について講演を行い、また平成30年3月にワシントンで開催されたアメリカ・アジア学会AASの年次大会では、Japanese StudiesとPlanetaryの概念に焦点を合わせたパネルに参加し、日本の現代史と新自由主義の関係を惑星的観点から見直す必要性についての発表を行った。
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