2018 Fiscal Year Annual Research Report
Literary activities and changes of ethnic consciousness of Korean Residents in Japan- An analysis of a bulletin of organization
Project/Area Number |
15K12872
|
Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
呉 恩英 愛知淑徳大学, 教育部門・センター, 講師 (10722564)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | メディア / 新聞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、在日朝鮮人の組織における各機関紙(『朝鮮新報』、『民団新聞』、『統一日報』)を中心に、在日朝鮮人作家の文学活動の基盤や民族意識の変化への組織の影響などを比較分析し、在日朝鮮人文学の特徴と全体像をより明確にすることである。具体的な研究課題の対象になるのは、1950年代半ばから1960年代後半までの在日朝鮮人組織の機関紙に載せられている作品や評論、座談会などの記事である。4年間時期を分けて資料調査を進めながら比較分析を行い、在日朝鮮人においての文学活動の環境がどうだったかについて把握することができた。研究の対象期間の間に、在日朝鮮人作家の作品が掲載されたのは、総連機関紙『朝鮮新報』の方が圧倒的に多かった。『朝鮮新報』は、三つの新聞の中で、唯一朝鮮語で発行していた。在日朝鮮人は、これを通して朝鮮語及び祖国への誇りを持つようになり、民族意識が『民団新聞』と『統一日報』より『朝鮮新報』の方がより強く現われていた。『朝鮮新報』に掲載されている作品の中には、「文芸作品懸賞募集」より当選されたものもある。作品の完成度は高いとは言えないが、新人作家を発掘しようとしていたのが分かる。また1965年ごろには4ヵ国語で発行するほど印刷技術が発展しており、積極的に文学活動ができる環境が整えられていた。 在日朝鮮人の機関紙を取り上げる本研究は、在日朝鮮人、そしてその文学の研究方法を捉え返す作業として意義を持つと考えている。これらの成果は、『在日朝鮮人メディアと戦後文化談論』(2018年、博文社(韓国))と『日本文化学報』(第78輯、2018年、韓国)、そして2019年2月にシンポジウム「在日朝鮮人における文学活動―組織の機関紙を通して―」などを通して公開した。
|
Remarks |
本研究の成果報告を兼ねて、2019年2月9日に愛知淑徳大学星ヶ丘キャンパスにて関連研究者を招き、シンポジウム(「在日朝鮮人における文学活動―組織の機関紙を通して―」)を開催した。
|