2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K12890
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Research Institution | Sapporo University |
Principal Investigator |
時崎 久夫 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (20211394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 治政 鶴見大学, 文学部, 准教授 (30386908)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 語順の変化 / 語強勢 / 借入語 / フランス語 / Ancrene Wisse |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、英語における目的語-動詞 (OV) から動詞-目的語 (VO) への語順変化は、音韻の歴史変化が原因であるとする、新しい仮説を提案し、これを英語歴史コーパスの方言分析と言語類型論によって実証することである。 英語の語強勢の位置は、ゲルマン的な語頭から語末方向に向かって移動したが、その原因として、語末付近に強勢を持つフランス語などからの借入語の増加が考えられる。コーパスのテキストごとに、借入語の数と VO 語順の動詞句の数を調査し、年代および方言別に比較して数値に相関があるかを統計的に検討する。この相関を音韻と統語のインタフェース理論によって説明する。 研究実施計画では、初年度は、分析しやすいコーパスを選定し、試験的な分析を行い、今後の基礎を作ることとしていた。 この目的と計画に基づき、今年度は、13 世紀初期に書かれた文献である Ancrene Wisse を分析対象として選定し、本動詞(V)と目的語(O)の相対的語順とフランス語借入語の相関を分析した。暫定的な結論としては、この分析結果は Tokizaki (2011, 2013) などでの展開している、語強勢の位置が語順を決定するという主張を支持するものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初のテキストについて、分析を行い、当初の予想におおむね沿った結果を得ている。また、この内容を2016年秋の国内学会で発表する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の計画 1 分析結果の集計:初年度の分析結果を集計して、代表的テキストごとのフランス借用語の数と OV/VO 語順の数の 相関を統計によって検証する。統計学に詳しい研究者にも助言を求めて、正確性を期したい。 2 重要テキストの分析:初年度の代表的テキストに加えて、歴史的・地理的に重要と考えられるテキストを選定し、借 入語と語順の集計を行う。 3 理論の精密化:借用語の数と OV/VO 語順の数の相関を説明するため、統語論と音韻論のインターフェース理論 を精密化していく。そのために、研究発表を行う。 4 研究発表と研究方法の再検討:成果を国内と海外の学会で発表し、国内外の歴史言語学者にも、理論面・実証面からコメント してもらい、研究方法を再検討する。
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Causes of Carryover |
現有設備のパソコンが、まだ工夫により、続けて使用できることが判明し、次年度購入に変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にパソコンを購入予定。
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