2015 Fiscal Year Research-status Report
スマート機器を用いた漢字特殊拍産出自律学習支援システムの地球規模の運用実験評価
Project/Area Number |
15K12891
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三輪 譲二 岩手大学, 工学部, 准教授 (60125664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 よし子 東京国際大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40214704)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育工学 / 日本語教育 / 情報通信技術 / e-Learning / 自律学習支援 / 発音評価 / 特殊拍産出 / 漢字産出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スマートフォンやタブレットの操作に慣れたディジタル世代の日本語学習者に対して、いつでも、どこでも、だれでも、手軽に、繰り返し、学習できるクラウド環境で、多段自律学習できるWeb ネットワーク型の「公開型仮想学び舎(Open-Manabix、マナビックス)」による漢字と特殊拍音声の産出(production)の自動評価とフィードバックを行う日本語音声学習支援システムを構築し、地球規模での公開運用実験を行い、新しい時代の日本語教育に資する実験評価を行うことを、研究目的とした。 非漢字圏の日本語学習者において、漢字の効率的学習法の確立が必要である。手書き漢字の産出による学習法は、明朝体フォントの鱗や教科書体フォントの筆押さえなどは、画の特徴として無視できることに、容易に気づかせることができ、類似漢字の識別力の向上に利点があると考える。また、漢字の形が既知で読みや意味が未知の漢字の検索に利用できる。このため、Web型手書き漢字認識システムを開発し公開した。このシステムでは、手書きにおいて、漢字の画の方向や筆順を誤った場合は、画の色を変更して、学習者にフィードバックする機能を付け、漢字の産出の誤りを、学習者が気づきやすくする機能を提供した。また、テキストフォームに学習者が記述した漢字の順に漢字のなぞり書き練習ができる機能を提供した。 特殊拍音声の産出の発音評価においては、AndroidとiPhoneのスマートフォンを用いて、音声自動認識結果から、発声全体の持続時間や拍数等から、100点法で評価する方法を開発した。これにより、発音の改善の方向性を学習者が理解し易くなり、学習者に高い評価を受けている。また、機器の画面に、拍の持続時間などの分析結果が、教師音声と比較して表示されるので、発音の改善方法を、学習者が視覚的に理解し易い特徴を持っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手書き漢字の産出においては、今年度の1年間で約5万漢字の産出の利用があり、1日約130漢字以上であることから、積極的に利用されており、本システムの有効性が確認された。また、1年間のスマート機器からの利用は、25.4%であり、パソコンばかりでなく、スマート機器も積極的に利用されていることが分かった。 特殊拍の発音評価単語として、今年度は、入るや読むなどのテ形動詞、東京や京都などの拗音を含む長母音など、約50個準備した。発音評価では、例えば、「入るのテ形は何ですか」の合成音声の質問に対して、「入って」または「入ってください」と音声で答えると、発音スコアが表示される自律学習向きの質問回答型試験システムとなっている。また、米国の大学の初級の日本語学習者80名により、Android端末を用いて発音評価してもらった結果、いつでも、どこでも、手軽に利用できることから、有効性が確認された。また、従来の発音評価では、パソコンのマイクに向かって発声していたため、恥ずかしさや抵抗感があったが、今回はスマートフォンに内蔵のマイクを用いたため、発声の抵抗感を非常に和らげることができた。また、音声区間の自動切り出しなどのインテリジェント機能を組み込むことができたので、録音の失敗が少なくなり、録音作業のストレスを減らし、発音の改善に学習者が集中することができたことは、スマートフォンを用いたことの最大の利点である。 なお、研究成果を周知するために、ハワイおよびメキシコで開催された国際学会で漢字と特殊拍音声の産出評価法のワークショップを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も、国内外において、ワークショップ等を実施して、研究の運用実験評価を実施する。 また、漢字の産出評価において、画の誤りが生じやすい漢字がある一方で、画の誤りが生じにくい漢字もあることから、これらを漢字学習の指導に役立てることを検討する。 さらに、発音評価において、Android端末による発音評価は、インターネット配布ができたため実施したが、iPhone端末による発音評価は、アプリの開発は完了したが、インターネットを利用したアプリの配布ができなかったため、次年度の課題である。
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Causes of Carryover |
研究開始当初は、2016年3月にメキシコシティで開催された「メキシコ日本語シンポジウム」の発表のための外国旅費として予算使用を計画していたが、所属機関において外国旅費が獲得できたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果を地球規模で広報して評価実験を行うために、海外での国際学会のワークショップの参加計画を1回多くし、その外国旅費として使用する。
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Research Products
(10 results)