2016 Fiscal Year Research-status Report
日本語学習者用リーディングスパンテストの開発とSEM読解モデルの構築
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15K12892
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
柴崎 秀子 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (00376815)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本語学習者 / 読解 / 作動記憶 / リーディングスパンテスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は2つある。その1つは日本語学習者用のリーディングスパンテスト(以下RST)を開発することであり,もう1つはそのテストを使って日本語学習者を対象にした作動記憶容量の視点から読解研究への応用を図ることである。 昨年度(平成27年度)においてRSTの作成を完成する予定であったが,不完全な部分があった。作成したRSTにおける被験者の得点分布を観察したところ,本来は正規性があるのが望ましいが,分析の結果,正規性から遠いことがわかった。さらに,テストの信頼性を分析すると信頼性係数(クロンバックα)は0.21という結果であった。これは少なくとも0.4以上が望ましい。そこで今年度においては,最初にこのRSTの作り直しを行った。平成27年度に作成したRSTが成功しなかった理由として1)被験者数が少なかった,2)パソコンが1台しかないために時間がかかりすぎた,3)被験者が漢字圏と非漢字圏が混ざっていたという点であったと考えられる。1)の問題を解決するために,27年度には被験者を10名ずつ3回で行ったが,今年度は70名で1回にして行った。2)の問題については予算がないために解決ができないままである。 今年度作成のRSTではターゲット語を旧日本語能力試験2級レベルに統制し,1文の長さも統制した。被験者は非漢字圏に限定した。被験者を70名にしたことで,得点分布は正規分布にやや近いものになり,信頼性係数は0.42にあがった。被験者を非漢字圏に統制した場合,研究代表者が所属する長岡技術科学大学だけではまとまった数の獲得が難しいため,イタリアのミラノとフィレンツエにおいてもRSTを行い,その結果70名のデータを取ることができた。さらにベネチアで開かれた2016年ヨーロッパ日本語教師会総会において,欧州で日本語を教えている教師とRSTについての情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RSTは一人ずつ行うテストであり,1名につき説明や練習も含めて50分から60分かかる。多人数で一斉に実験を行うことができないため,実験時間は膨大になる。本研究は代表者1名で行っているため時間がかかっているのであるが,分担者を入れると実験手順の教示などで,かえって時間がかかってしまうことが予想される。また,分担金を配分するほどの余裕がない。そのため,今後も一人で行うが,これまでと同様時間がかかることが予想される。 パソコンが1台であるため,1回に被験者一人しかできない。これはパソコン数台を計上したが,予算がつかなかったためである。この点において今後解決される見通しはない。 しかし,被験者が無償で実験に協力してくれたために,謝金の必要がなくなり,その分を旅費に回すことができた。海外での実験を行ったので,この点は大いに助かった。 来年度はRSTではなく,読解テスト,文法テスト,語彙テストを行うが,これらのテストは一斉に行うことができるので,時間的負担は若干軽減されると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度においては以下の項目を計画している。 1)作動記憶容量と語彙知識,文法知識,及び読解能力との関係を明らかにするために語彙テスト,文法テスト,読解テストを作成する。 2)被験者70名程度で上記の3つのテスト及び平成28年度に完成したリーディングスパンテストの4種類のテストを実施する。 3)共分散構造分析の解析ソフトウエアを使用して,4変数のモデルを構築する。 1)は平成29年度8月までに完成を予定している。2)は9月から12月の間に行い,3)は平成30年1月から3月の間に行う予定である。
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Research Products
(2 results)