2017 Fiscal Year Research-status Report
複雑性理論を基盤とした学習者の言語能力と動機付けの変化に関する縦断的調査
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15K12907
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西田 理恵子 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (90624289)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 縦断調査 / 言語運用能力 / 動機づけ / 情意要因 / 小中学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2012年4月~2017年3月にかけての5年間である小学校5年生~中学校3年生に縦断調査を実施した。5年間にかけて7月と2月に、合計10回の質問紙調査と言語運用能力テスト(英検ジュニア、英検5級、英検プレイスメンとテスト)を実施し、5年間にかけてどのような変化があるのかを全体傾向と個人差の傾向から分析している。5年間縦断調査の結果、22名が最終的な調査対象者となった。全体傾向としては、言語運用能力については、各学年時点での7月と2月を比較すると(例:中学1年生段階の7月と2月)2月時点で上昇する傾向があることが明らかになった。自律性、有能性、関係性、内発的動機づけ、外国への関心、CanDo、理想自己を測定した結果、自律性が中学校段階から上昇する傾向にあること、CanDoは中学校2年生2月時点から上昇する傾向にあること、理想自己、有能性、外国への関心は小学校段階から中学校段階にかけてゆるやかな上昇を示していることが明らかになった。個人の傾向を把握するためにクラスター分析を実施した結果、2群が確認され、言語運用能力と情意が上位群と下位群に分かれた。22名の個人を詳細に分析したところ、一定の上昇を示す学習者や低下する学習者があったことから、教育委員会指導主事(元担任)に面談を行ったところ、社会文化的側面として考えられる学校での生活や家族の背景が、生徒の英語能力や情意面にも影響があることが明らかになった。今後は、教師の面談データをより精緻に分析し、マクロとミクロの視点から5年間で起こりうる学習者の変化の傾向を捉え、複雑系理論を基盤として議論をする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年4月~2017年3月にかけて縦断調査を実施して、合計10回の質問紙調査と言語運用能力テストを実施し、データ収集は概ね終了した。しかしデータ分析を実施した結果、数量分析では捉えきれない現象が明らかになったことから、英語教師(現在教育委員会指導主事)に連絡を取って、面談を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、質的研究部分に関わる面接データの追加データを入手しているため、より詳細に分析を進め、時間軸を取り入れた縦断的調査の結果に関する全体傾向と個人の傾向に関して、マクロとミクロな視点から、社会文化的背景と個人内の変化の傾向を分析していく。その分析結果を、国内外での学会発表を予定している。さらに分析結果を報告書、論文として執筆し、刊行していく予定である。
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Causes of Carryover |
質的データを追加収集したことから更なる分析が必要となり最終年度となる今年度に国内外での発表を行う予定であるため。
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Research Products
(4 results)