2016 Fiscal Year Research-status Report
自動化されたフィードバックが学習者のライティング能力に与える影響
Project/Area Number |
15K12912
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Research Institution | Yamaguchi Gakugei College |
Principal Investigator |
岩中 貴裕 山口学芸大学, 教育学部, 准教授 (50232690)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | L2ライティング / 自動化されたフィードバック / 書き直し / Criterion / E-rater |
Outline of Annual Research Achievements |
ライティング能力はフィードバックに基づいて書き直しを行うことによってその成長がもたらされる。しかし教師が学習者の書いたエッセイ等に対して書き直しを促す体系的なフィードバックを与えることは現実的に困難である。この問題を解決するひとつの手段として自動化されたフィードバック(Automated Writing Evaluation Systems、以下AWE)の利用が挙げられる。自然言語処理技術とコンピュータ技術の進歩により学習者の書いたエッセイに対して即座に体系的なフィードバックを与えることが可能になった。本研究ではCriterionと呼ばれるAWEを利用して、L2ライティング能力を向上させることが可能であるかを検証した。言語形式に対するフィードバックをAWEに任せ、教師は内容に対する好意的なコメントを与えるという方針で指導効果の検証を行った。この指導方法によって、1)書き直しによって学習者のエッセイの質的向上がもたらされる、2)書き直しによって学習者のエッセイの量的向上がもたらされる、という2点を示すことができた。AWEと教師が相補的な役割を担うことによって望ましい教育成果がもたらされる可能性が高いことが確認できた。 2016年度は従来行ってきた研究に加えて、Criterionが提供するフィードバックサンプルを収集し、その分析を行うという研究に新たに着手した。また学生に対して面接調査を実施し、学習者がAWEに対してどのように感じているのかを明らかにすることを試みた。収集したデータを分析した結果、CriterionがOrganization & Developmentについて与えるフィードバックは信頼性が低いことが明らかになった。2017年度はCriterionの問題点を考慮した上で、新たな調査研究を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度はあらたなデータ収集は行わなかったが、これまでに収集したデータ分析に十分な時間をかけることができ、その成果を報告することができた。2016年度中は学会発表を3回行い、論文を2本執筆した。 学会発表の内の2回は国際学会での発表である。論文は1本が査読有り論文である。所属先変更のためデータ収集が出来なかったのが想定外であったが、平成29年度に当初予定していた以上のデータ収集が行える見込みであり、既に開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
自動化されたフィードバックを用いることによって学習者のライティング能力が向上することを証明するためのデータ収集を行う。 今年度は調査参加者が自動化されたインタビューに対してどのように感じているのかを明らかにするための調査を実施する。これまでの実績から概ね好意的に受け入れていることが明らかになっているが、データに基づいて検証することが求められている。 今年度の4月より調査に参加している調査参加者を対象に半構造化インタビューを実施し、収集したデータをQDAソフトで分析する。分析はMAXQDAを用いる予定である。
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Causes of Carryover |
収集したデータの入力を業者へ依頼する予定であったが自分で行ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究資料の購入に使用する。
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