2015 Fiscal Year Research-status Report
不安心理に対応した英語表現授業によるアサーティブ学習ストラテジーの構築
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15K12928
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
坂元 真理子 鹿児島工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60370061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 直之 鹿児島工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80280501)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 外国語教育 / ソーシャルスキル / コミュニケーション / 実証的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は主に、1)外国語学習や対人場面で起こる不安心理とコミュニケーションスキルに関する情報収集、2)学習者の不安心理に関する調査方法の検討と確立、3)調査の実施、4)調査結果の分析と考察、5)調査結果の発表、という5つの点について成果を上げることができた。1では、臨床心理や外国語学習、ソーシャルスキル、コミュニケーション等、学習者の不安心理に関わる多方面の分野の論文や書籍を収集し、またアサーティブネスについての研修に参加することによって、多くの知見を得ることができた。これにより、外国語学習における不安心理とその対処法について体系的及び多面的なアプローチを行うことができるようになり、その知見を実際の調査や今後の実践に役立てることができる。2では、テーマについて実証的研究を行うため、個々の調査と分析について具体的な方法を検討し計画した。3では2をもとに、次年度に不安心理に即した教授法の開発を達成するための下準備として、2・4・5年生と海外渡航経験者に対し、不安心理についての実態調査を行った。4ではその結果を統計を用いた量的分析及び質的分析を行なった。統計分析のソフトウェアを入手したことにより、これまでとは格段に異なる様々な分析や、それを見込んだ調査計画を立てることが可能となった。また、4において対象の学習者が持つ外国語不安の構成要素について分析したデータをもとに考察を行い、その結果をまとめたものを学会で発表した(5)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第二言語習得と教授スキルに関する文献をある程度集めることができた。また、アサーティブネスについての研修会に参加する機会が得られたことで、実践的なトレーニング方法や指導テクニックについて学ぶことができた。しかし、アサーティブネスとコミュニケーション学は社会科学の中でも比較的新しい分野であるため、この二つに関する理論的な文献については今後さらに収集する必要がある。また、平成27年度に集めた情報を踏まえ、今後はソーシャルスキルに関する文献にも注目していく予定である。収集した先行研究や文献をもとにして具体的な調査計画をデザインし、それに沿った調査項目を作成した。また調査にあたり、調査対象校(本校)の生命・倫理委員会の審議を経て、心理カウンセラーとの連携や調査者の同意書をはじめとした一連の必要な対応を構築することができた。実施した調査から得られたデータの分析にあたっては、統計処理に必要なソフトウェアを購入し、実証的研究に必要なデータ解析を行うことができるようになった。27年度は300名以上の対象者に対し調査を行うことができたが、今後更にデータを収集するにあたり、調査項目と調査対象者数が多いため入力作業の効率化が必要なことが分かった。データを分析し、その結果をまとめて国内で2つの学会発表を行うことができた。しかし論文にまとめるのに十分な時間をとることができなかったので、平成28年度はそれを論文としてまとめていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、収集した文献や先行研究をもとに、外国語学習者の不安心理の解消のために効果的な指導方法の開発に向け、各分野について体系的に理解し理論を構築する必要がある。ソーシャルスキルとコミュニケーションについての理論的な文献をより多く収集する必要もある。先行研究と実証的研究によって得られた知見を踏まえ、今後具体的な授業活動や教授法を構築し実践へつなげていく必要がある。平成28年度は、外国語不安の払拭やアサーティブネスに効果的な指導を行う前の学習者を対象に実態調査を行い、それらの指導を一定期間行った後に再び調査を行う予定である。そのために、文献や先行研究、学習者の実態を踏まえ、授業の形式・形態や実践的な授業活動の内容、ケースごとの指導方法等について定期的あるいは集中的に教授できるような方法を考案し、実践していく予定である。また、日本以外の国で大人の学習者を対象に第二言語教授の中でソーシャルスキルを取り入れて指導している機関や、ネイティブスピーカーや第二言語学習者を対象にアサーティブネスについて何らかの指導を行っている機関について、具体的にどのような方法や方針で実施されているかを調査し、知見を得ることを計画している。
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