2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12931
|
Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
俵 寛司 長崎国際大学, 人間社会学部, 准教授 (80463925)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 対馬・壱岐 / 隠岐・山陰地方 / 韓国 / 島嶼性 / アジール |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、2015年年8月11日から8月20日にかけて、長崎県対馬市・壱岐市における調査を実施した。対馬市では、研究協力者である鄭仁成(韓国嶺南大学校文科大学文化人類学科准教授)と共に、対馬島内の各資料館において出土資料の観察と発掘調査報告書等の情報収集、集落遺跡推定地の踏査を実施した。壱岐市においては、長崎県埋蔵文化財センター及び一支国博物館において出土資料の観察と関連資料の収集、原の辻遺跡、串山ミルメ遺跡など島内各地の集落遺跡の踏査を実施した。2016年3月24日から3月31日にかけて、島根県隠岐及び山陰地方の遺跡・博物館等を調査した。隠岐では、隠岐の島町・海士町・西ノ島町の3島の遺跡・資料館等で資料収集を行い、本土側では山口・島根・鳥取各県の遺跡を踏査した。さらに、本研究課題に関連する成果をふたつの国際学会で発表した。2015年6月に韓国慶尚北道慶山市で開催された鬱陵島国際会議「地方居住地の島嶼性と鬱陵島の交通-交通の変化・ネットワーク・交易・文化」及び同年7月にパリ第10大学で開催された東南アジア考古学者ヨーロッパ協会第15回国際会議である。上記会議への参加とあわせ、各地の大学・博物館・遺跡等で調査を行った。韓国では嶺南大学校博物館の展示資料(地図資料)、蔚山博物館など慶尚北道の博物館と関連遺跡、フランスでは海外に流失したアジアコレクションの調査のためパリ市内の博物館を実施調査した。ドイツではルール大学において「アジール」に関する歴史研究の情報収集と研究協力者である同大学バーバラ・ザヨク博士との意見交換を行った。以上の実地調査・学会発表に加え、本研究課題に関連する史資料の集成と、考古学情報の収集を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の主要な目的であったステージ1、すなわち長崎県対馬・壱岐、島根県隠岐及び山陰地方、韓国慶尚北道沿岸地方など、日本海周辺の島々・地域を実地調査することができた。対馬・壱岐については、当初目的とした弥生時代の集落と「外来系」遺物ばかりでなく、中・近世にかけての資料についても実見し視野を広げることができた。韓国では鬱陵島への渡航を計画していたが、中東呼吸器症候群(MERS)の感染が拡大し、公共交通機関での移動が制限されたため中止となった。隠岐については、山陰地方の調査と合わせて実施することで、古代出雲の歴史的背景の重要性と中世から近代にかけての長期的な位置づけを把握できた。二度の国際学会で発表することにより、本研究における「移動」や「翻訳」、トランスナショナルな「ネットワーク」といった議論を国際学界にアピールすることができた。以上のように、研究の目的はおおむね順調に達成されつつあると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は今後も各地域(海域)の文化資源に関するケーススタディを推進する。ステージ1(日本海周辺の島々)については、平成27年度に引き続き壱岐市での補足的な調査と、それと並行して対馬市での近世窯跡の初歩的調査を実施する。この計画については対馬市・現地協力者の合意を得ており、測量調査や図面整理など次年度以降に実施する作業量が増加する可能性があるが、現時点で研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点はない。また、韓国鬱陵島での調査を再度計画している。前回と同様な事態については予測が難しい面もあるが、本研究課題にとって非常に有意義な方向性であり、現地協力者との密接な連携をもって調査に取り組みたい。ステージ2(太平洋周辺の島々)については小笠原諸島での実地調査を計画している。また、ステージ3(東南アジア海域の島々)については、平成28年度より山形眞理子(金沢大学国際文化資源学研究センター教授)を分担研究者に追加し実施にあたる。
|
Research Products
(4 results)
-
-
-
-
[Presentation] The culture of Tsushima and the movement of the sea current.2015
Author(s)
Tawara, Kanji
Organizer
2015 Ulleung Island International Conference: The Island-ness of Local Residents and Transportation in Ulleung Island: Changing Transportation Networks, Trade, and Culture
Place of Presentation
Yeungnam Univaersity, South Korea
Year and Date
2015-06-10 – 2015-06-12
Int'l Joint Research