2017 Fiscal Year Research-status Report
沖縄独立の人文学的意義に関する予備的考察-戦後歴史学を中心にー
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15K12933
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
冨山 一郎 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (50192662)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 沖縄独立 / 自治 / 東アジア / 軍事基地 / 人文学 / 島嶼社会 / 戒厳状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 ①奄美大島の名瀬にある名瀬教育会館に所蔵してある、社会運動家である松田清氏が収集した、奄美復帰運動関係資料の調査と整理を複数にわたっておこなった。また資料整理の中で、資料目録を作成し、資料のアーカイブ化を行った。さらに新たに奄美における国語教育関係の資料も発見した。②上記の調査と整理の過程において、奄美郷土研究会のメンバーとの交流、ならびに研究会を催す事ができた。具体的には、2018年1月27日に、奄美大島とりわけ名瀬を記録したドキュメンタリーを同研究会のメンバーとともに鑑賞したのち、そこで描かれている1950年代の名瀬及び奄美に関わる情報を明確化し、討議を行った。③韓国における反基地運動の関係者と意見交換を行い、本研究課題にかかわる共同研究の準備を進めた。具体的には、2017年11月25日に、ソウルで活動する研究集団<スユノモ104>との交流をおこなった。その中で、歴史を自己言及的に語ることについての、共同研究の在り方、語り口などについて討議を行った。④韓国ソウルにて、2017年10月28日、日本植民地主義の研究者である車承棋氏(韓国光州市朝鮮大学校)らと沖縄近現代史にかかわるワークショップを開いた。そこでは、沖縄近現代史を戒厳状態としてとらえ、こうした戒厳状態にかかわる歴史記述をめぐる方法論的な討議が行われた。⑤研究課題にそくした研究会を恒常的に行い、そこでの議論を、論文集としてまとめる作業を行った。この論文集は2017年度中には刊行できなかったが、すでに出版済みである。冨山一郎/鄭柚鎮編著『軍事的暴力を問う』青弓社、2018年。④その他、研究課題にかかわる資料収取と書籍購入を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当研究課題の3年間の期間のうち、最初の二年間が大学にける研究科長職と重なり、研究が大幅に遅れざるをえなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
Ⅰ全体趣旨 最終年度である2018年度においては、戦後沖縄史をアジア太平洋諸島との関連において検討する。すなわち日米関係の中で検討されてきた沖縄戦後史を、パラオ、グアム、ニューカレドニアといった領土的主権の例外的な位置におかれ場地域の歴史の中で比較検討する。またこうした検討において、自治あるいは自立は中心的な課題となる。またその際、ハワイにおける東西センターの冷戦期における役割に注目することが重要であり、同センターに対する資料調査等を行う予定である。 Ⅱ具体的計画 ①ハワイ大学の小碇美玲教授とともに、ハワイにおいて戦後沖縄にかかわる資料学的なワークショップを行う。②最終年度に関わる総括シンポジウムを行う。③成果の学術書としての刊行の準備を行う。
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Causes of Carryover |
研究期間の3年のうち2年が大学における研究科長の任にあり、研究の進捗が大幅におくれ、研究費を繰り越さざるをえなかったことが理由である。最終年度は、総括シンポジウムとうにおいて使用する計画である。
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Research Products
(2 results)