2016 Fiscal Year Research-status Report
東欧世界の成立と日本:日本・東欧関係史の再構築と新たなスラブ・ユーラシア史
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15K12941
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
家田 修 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 特任教授 (20184369)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 東欧 / スラブ / 国際関係史 / 両大戦間 / 国際連盟 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はテーマ別の研究会を積み重ねると同時に、日本と東欧スラブ関係を概観する視点から敦賀が両大戦間に果たした重要な役割に注目し、現地調査を行なった。この結果、杉原千畝関連の東欧ユダヤ人の受け入れだけでなく、ポーランド孤児やチェコスロヴァキア軍団の受け入れに関連する人の流れが判明した。 神戸大学の大津留厚のオーストリア=ハンガリー捕虜研究を通じた日本と東欧の関係史研究グループとも連携を始めた。この結果、本研究が契機となって、新しい東欧研究の見直しが視野に入り、29年度に向けた新規の科研費研究を申請することになった。 1956年のハンガリー事件をめぐる東欧と日本、及び東欧と東アジアとの関係史がスラブ研究者や東アジア研究者によって研究されていることが判明したため、1956年事件の60周年を期してハンガリーや中国の研究者を招聘した国際シンポジウムを開催した。このシンポジウムにより、社会主義運動における路線論争がハンガリー事件の推移により大きく影響を受けたことが明らかとなった。これは挑戦的萌芽研究にふさわしい分野融合的な(日本史、東洋史、西洋史など)新しい知見であり、成果を出版する価値があるとの認識が生まれ、29年度に向けて研究をさらに進めることにした。 ロンドン大学とハンガリーのセゲド大学の研究者と日本と東欧スラブの関係史について共同研究を行うことで合意が成立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
萌芽的研究にふさわしい新しい研究や融合的な研究の方向性が生まれた。 1)東欧史の見直し研究グループとの連携が生まれ、新規の大型科研費申請に結びついた。 2)1956年ハンガリー事件研究との連携が生まれ、日本と東欧に限らず、東アジアと東欧との関係史の再構築が視野に入ってきた。
史資料調査により、国際連盟だけでなく、国際議員連合関連の史料の存在が明らかになり、これにより日本と欧州との関係を多面的に研究する可能性が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
日本と東欧スラブ関係史研究会を継続的に開催する。28年度の研究の成果をふまえ、東アジア史、西欧史、北米史などの専門家と連携し、絞り込んだ論点について議論を深める。クロアチア史やポーランド史の専門家など協力を得て、文書館などでの史資料調査を行ない、その成果を研究会などを通して発表してもらう。 日本の外交文書館などで継続して史資料調査を行う。敦賀で国際研究集会を開催し、本研究の成果の検証と討議を行う。ホームページなどで研究成果を随時公表する。 最終的な研究成果を『東欧世界の成立と日本:知られざる日本外交の功績』(仮題)として刊行する。
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Research Products
(6 results)