2016 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of the facts of flooding in the small boundary paddy fields in the beginning of the Yayoi period by X-ray CT and Activation Analysis
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15K12945
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲村 達也 京都大学, 農学研究科, 教授 (00263129)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 考古学 / 初期稲作 / 出土米 / 水管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)異なる湛水条件で生育させたイネおよびホタルイの子実中の元素組成のICP-MSによる分析結果から、Cd/As濃度比が、それらが生育した水田の湛水状態の指標となることを明らかにした。しかし、イネや雑草の生育が不良である場合、Cd/As濃度比が湛水状態の指標として利用できない可能性が示唆された。また、弥生時代前期の出土米のAs濃度に出土米の包含層土壌のAs濃度の影響が示唆された。 2)弥生時代前期(BC480 ± 30)の包含層から出土した小穂(籾)と穂の一部を含む塊状の出土米(出土米ブロック)の放射光を用いたX線Computed Tomography(CT)計測をSPring-8 において実施し,画素サイズ25マイクロメートルの計測条件で得られた籾と玄米の画像の解析から両者の厚みを比較することで、生育中の湛水状態に影響される籾の登熟程度を評価できることを明らかにした。 3)弥生時代前期後半では、①小区画水田は微地形や小水路によって区分された単位ごとに水管理され、②その単位間で水田の構造や湛水機能が異なることが判明した。 さらに、弥生時代前期末には、③同前期後半の水田の上に拓かれた水田でその構造の改良によって湛水機能が著しく向上したと考えられる事例が確認された。一方、④弥生時代前期前半の奈良盆地に最初に導入されたと推定される水田は湛水機能が劣り、その利用形態がその後の弥生時代前期後半とは異なる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)