2015 Fiscal Year Research-status Report
軍事的圧力に抗う文化的実践―沖縄とパレスチナにおける地誌編纂と景観修復
Project/Area Number |
15K12954
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山崎 孝史 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (10230400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎浜 靖 沖縄国際大学, 経済学部, 教授 (80331180)
金城 美幸 東京大学, 東洋文化研究所, 研究員 (80632215)
飛奈 裕美 京都大学, 人間の安全保障開発連携教育ユニット, 特定講師 (90727570)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 占領 / 空間 / 沖縄 / パレスチナ / 政治地理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、各班が相互に意見・情報を交換しつつ、それぞれのフィールドで「軍事的圧力に抗う文化的実践」の実態を明らかにすることを主眼とし、研究に着手した。その内容は以下のとおりである。 沖縄班は、沖縄市総務部総務課市史編集担当および沖縄国際大学南島文化研究所において、自治体史・字誌の編纂ならびに宜野湾市における普天間基地跡地利用計画の内容に関する調査を実施し、28年2月5日に同研究所に行政関係者を招き「沖縄文化のレジリエンス(復元力)-地域史と景観復原の視点から」と題したミニシンポジウム(沖縄国際大学南島文化研究所第195回シマ研究会)を開催した。現在はその報告書を作成中である。 パレスチナ班は担当者それぞれがヨルダン川西岸地区において地誌編纂と伝統的建造物修復事業の内容に関する調査を行なった。またハイファ大学地理学部のラーセム・ハマイシー教授の協力の下、2016年8月に開かれる国際地理学連合北京会議において、本研究と直接かかわるセッション(A Reexamination of Militarization and “the Space of Occupation”: A Comparison Perspective)を設置する準備を進めた。現在、本研究分担者を含む世界各国からの7名の研究発表が予定されている。パレスチナ班の研究の進捗は若干遅れているが、28年度内に中間成果の公開を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を構成する班のうち、パレスチナ班の担当者が出産のため一時研究を中断していたため、パレスチナ班の研究がやや遅れているが、28年度には軌道に乗るものと考えらえれる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、27年度に調査した各地の事業がどのように地域と民族集団の再生(活性化)に寄与しているか、追加調査を通して明らかにしていく。沖縄班は10月までに第3回の共同調査を1週間程度実施し、平成27年度の対象地域である自治体史・字誌編纂や集落復元事業に関わった編集者・設計者・住民に対する聞き取り調査を行い、これら事業を通してどのような地域と「沖縄人」という主体の再構築が企図されてきたかを把握する。 パレスチナ班も10月までに第2回の共同調査を1週間程度実施し、平成27年度の調査対象期間において、事業関係者に対する同様の聞き取り調査を行い、ユダヤ化に抗する地域と「パレスチナ人」という主体の再生がどのように取り組まれてきたかを把握する。 各班の研究成果を踏まえて次年度以降の研究助成金の申請に備えるとともに、11月の人文地理学会大会ないし平成29年3月の日本地理学会大会で成果報告し、年度末にかけて比較研究の総括を行う全体研究会と報告会を沖縄国際大学南島文化研究所で開催する。合わせて過去2年間の本研究の成果に関する和英文報告書(PDF版)を執筆し、沖縄県とパレスチナの関係機関に届ける。
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Causes of Carryover |
第一の理由は、研究代表者が平成27年度3月末から4月初めにかけて既に国外旅行を実施しており、本年度分の旅費は昨年度からの繰り越し経費から支払われることになっているからである。第二の理由は、研究分担者の出産と育児により研究活動が中止されたことから、執行額が少なくなっているからである。その他の未執行額については基金という性格から、各分担者が翌年に執行を繰り返したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度から繰り越された執行済みの経費については本年度に執行(立て替え分が補てん)されることになり、研究中断にかかわる未執行経費についてはその分を減額して本年度の配分経費としている。その他繰り越された昨年度配分費については、各分担者が適正に執行する予定である。
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Research Products
(14 results)