2016 Fiscal Year Research-status Report
アラスカ先住民集落でのソーシャルワーク活動に資する実践人類学的研究
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15K12960
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
井上 敏昭 城西国際大学, 福祉総合学部, 教授 (00265521)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク / 先住民社会 / 援助 / メンター / アラスカ / 実践人類学 / 若年者 / 伝統的技法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に沿って平成28年8月7日から同月18日まで合衆国アラスカ州フォート/ユーコンにて現地調査を行った。現地では同集落先住民政府Nancy James第1首長に面会し、本研究への同意を取り付けたほか、同政府教育・就労管理官Nancy Shewfelt氏と面会し本研究について助言を受けた。またアサバスカ先住民政府間協議会Patricia Stanley事務局長、同協議会立診療所の行動保健学相談員Stephanie Hainz氏、アラスカ州裁判所支所判事Dacho Alexander氏、同集落小中学校Debbie Van Dyke校長、アラスカ大学サテライトキャンパス事務長Edward Alexander氏から、同州落社会の若者が直面している問題の所在やメンター文化について聞き取り調査を行うとともに、本研究への助言を受けた。またメンター活動を行っている同集落住民Clarence Alexander氏、Randy Van Dyke氏に対して聞き取りおよび参与観察法調査を実施した。同月19日には同州フェアバンクスに移動し、アラスカ大学人類学教授David Koester博士より本研究に関する助言を受けた。以上のなかで、1)先住民社会では若年者特有の問題があり、とくに男性に顕著であること、その背景に戦後以降の社会変化と伝統的観念の齟齬などがあること、2)メンターをマッチングするシステムの構築には、コーディネータに賃金を支払う必要があり、その財源の確保が重要であること、3)犯罪歴が更生の妨げになるので、犯罪抑止も重要であること、4)過干渉、ネグレクトなどの親に起因する問題が同集落でも増加しており親の支援も重要であること、などが明らかになった。 日本においては八街市社会福祉協議会で綿貫敏弘事務局長および生活支援班狛義和主任主事、生活クラブ風の村主任相談支援員下村功氏より聞き取り調査を実施し、日本における若年者が直面する問題の所在および最新の取り組み事例について情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度で実施予定だった現地調査については、平成28年度8月の調査でおおむね終了することができた。しかし、本研究の目的である支援システム計画の策定に関しては、計画より遅れている。この遅れを取り戻すために、支援システムの試案を日本で作成し、メールなどの通信手段を介して事前に現地の研究協力者に送り、平成29年度に実施予定の現地調査までに試案に関する内容を検討してもらうことで、研究実施の効率化を図ることとする。 また平成28年度に実施予定であった研究発表については、実施できなかった。 研究に供するパーソナルコンピュータ、デジタルカメラなどについては、平成27年5月までは購入手続きが完了し納入された。上記物品購入に関しては、平成28年度に実施した調査によって明らかになった現地環境に対応したスペックの製品を購入するため、当初予算額をオーバーすることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年8月に合衆国アラスカ州フォート・ユーコンおよびフェアバンクスに赴き、現地研究協力者と支援システム構築に向けた検討作業を行う。今回の渡航では、上記「研究実績の概要」で記述したフォート・ユーコンの研究協力者と引き続きパートナーシップを維持しつつ、現地ニーズに合致した支援システム案を策定するほか、フェアバンクスにある調査地の先住民政府組織の上位団体であるタナナ・チーフ協議会などを訪問し、教育や村落かは粒書の担当者から、将来において財政的支援が可能か聞き取り調査を行う。また、フォート・ユーコンでは、前回の調査で接触できなかった、メンター活動を実践している女性から、聞き取り調査を行う。8月での現地訪問での成果や進捗状況を鑑み、本務校業務との調整を図り、必要であれば平成29年12月あるいは平成30年3月での渡航を検討する。 以上の渡航を通じて、若年者に対する支援システムの構築を目指すとともに、その試行支援や支援システムのオープンアクセス化を実施し、広くアラスカ・カナダの先住民社会が利用できるよう公表を目指す。また現地のメディアを通じて本研究プロジェクトの広報および成果の公表をはかるほか、日本国内外の学会やソーシャルワーク系の研究会などで成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
研究代表者は、平成28年度中の海外・国内調査および学会発表を計画し、うち1回の海外調査および1回の国内調査は遂行できた。しかし、前年の父の逝去に伴う遺産相続の処理に関して母親の支援する必要が生じたことや、本務校において予期せぬ経営体制の大幅な変更、学部長として対応する必要が生じたことから、国内調査の実施や学会等における研究成果の公表は断念せざるを得なかった。とくに英国ケンブリッジ大学で開催されたSharing The Archaeology and Anthropology of Hunter-Gatherers Conferenceでは、研究代表者による研究発表が採択されていたが、上記の理由により参加を断念した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度および28年度までに実施予定の海外および国内調査、国内外の学会における成果発表については、平成29年度内にその実施をカバーする予定である。また、収集した資料の整理や支援システム安策定のための事務作業従事のため、アルバイトを雇用する予定である。
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Research Products
(1 results)