2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Theoretical and empirical study on the accumulation of social relationship capital with the guiding concept of solidarity
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15K12992
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
今里 滋 同志社大学, 政策学部, 教授 (30168512)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 連帯経済 / シェアリング・エコノミー / ボランティア経済 / 九州北部豪雨被害 / 空き家 / シェアハウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は「『連帯を嚮導概念とする社会的関係資本の蓄積に関する理論的及び実証的研究」(平成27年度挑戦的萌芽)に関連する研究調査のために現地調査とアクションリサーチを重点的に実施した。 まず、平成29年7月に福岡県朝倉市一帯で甚大な被害を発生させた北部九州豪雨被災地で調査と自らボランティア活動を行い、被災地での「連帯」の具体的内容を体験的に参与観察した。8月初旬に、朝倉市杷木町において、災害発生後いち早く現地本部を立ち上げ、主として農業復興支援を行っている特定非営利活動法人ユナイテッドアースを訪問し、現地責任者から支援活動の内容と進捗状況や効果についてヒアリングおよび現調査を行った。その後、朝倉市杷木町寒水地区の民家の泥出し作業に自ら従事し、ボランティアが築く連帯型信頼ネットワークの実動状況を参与観察するとともに、被災者にヒアリングを行い、ボランティアによる無償の労力提供とそれによる被災者の復興促進というシェアリング・エコノミー関係が成立していることを確認した。 10月には、福岡県糸島市において、九州大学の大学院生が、糸島市や九州大学と協働して推進している「糸島空き家プロジェクト」を中心に視察しヒアリング調査を行った。同プロジェクト・スタッフの案内で5件の空き家活用事例を視察した。糸島市の場合は空き家が増加する一方で、九州大学の移転により学生の住宅需要が高まっている。事例調査を通じ、この課題を単に市場経済で解決するのではなく、非営利組織が介在することで空き家所有者と賃貸し入居する学生らとの間に親和的な人間関係が生まれ、無償の贈与経済も発生するなど、新たなシェアリング・エコノミーが展開しつつあることを確認できた。 また、平成28年度の海外調査の成果に基づき、「住民自治と地域経営――スウェーデンの過疎の村を事例として」(『同志社政策科学研究』第19巻第1号、53~66頁)を公刊した。
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