2016 Fiscal Year Research-status Report
アフリカの角・西インド洋地域における「海の安全保障」と地域協力
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15K13000
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
杉木 明子 神戸学院大学, 法学部, 教授 (40368478)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 海洋安全保障 / 海賊 / 海上犯罪 / グローバル・ガバナンス / セーシェル / 地域協力 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はアフリカの角・西インド洋地域で発生している海上犯罪および安全保障に付随する諸問題に対処し、「海の安全保障」を実現するための国際協力を考察することである。ここでいう「海の安全保障」とは軍事的側面だけでなく、非伝統的安全保障を含めた海洋の平和的・相互互恵的利用をさす。その実現には、関係諸国の統治・司法機能の強化が必要であり、本研究は政治学、国際政治学、国際法などの観点から当該地域の海上警備に関する多国間協力、海上犯罪・海上テロリズムに対する処罰、沿岸諸国間の海上犯罪に対する地域協力の実態を分析し、今後の当該地域の「海の安全保障」を実現するために、国、地域、およびグローバル・レベルでどのような対応をおこなうべきかを提示する。 平成28年度は研究実施計画にもとづく以下の調査・研究を行った。 (1)「海の安全保障」に関する概念的・理論的考察:平成28年度は安全保障レジーム、グローバル・ガバナンス論の観点からアフリカにおける海洋安全保障レジームを理論的考察し、既存の理論の問題点を明らかにした。 (2)海賊行為に関する判例の収集:セーシェルにおける海賊裁判の判例を収集するとともに、裁判の実施に関する実態と問題点を司法関係者に対して聞き取り調査した。 (3)海上犯罪に関する調査:セーシェルにおいて、密漁、麻薬の密輸などを中心に海上犯罪に関する調査を行った。 上記の調査、研究をもとに、国際政治学会アフリカ分科会で報告を行うととともに、1本の論文を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ケニアとともに海賊に対する処罰・訴追を積極に進めてきたセーシェルにおける海賊裁判の実態を調査することができた。さらに、セーシェルで海賊問題だけでなく、沿岸諸国が憂慮している密漁、麻薬の密輸などの海上犯罪に関して、セーシェル政府関係者および国連犯罪・麻薬事務所(UNODC)、インド洋委員会、インド洋まぐろ委員会などの担当者にインタビューをすることができ、現状を把握することができた。海賊引渡や刑務所の状況などは調査することができなかったものの、現地の有益な情報を収集することができたのは成果であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度の調査で得られた情報をまとめ論文や研究発表で成果を発表する。またアフリカの角・西インド洋の海上安全保障や海上犯罪問題の支援を行っているドナー諸国の関係者に対するインタビューを行うことで、海上安全保障の理論的枠組みを整理し、論文を執筆したい。
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Causes of Carryover |
セーシェルでの調査時に予定した経費と実際の使用した経費に差額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の調査および図書費の購入に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)