2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青柳 真樹 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50314430)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
競争におけるハンディキャップの役割について、平成28年度は平成27年度に引き続いてモデルの構想に時間を費やした。モデルでは競争を行う複数のプレーヤー(以下プレーヤー)と、それらのプレーヤーに戦略的にハンディキャップを与える単数または複数の他の種類の経済主体(以下プリンシパル)を想定する。またプリンシパルがハンディキャップをコントロールするにあたって達成しようとする目的、プレーヤー間の競争の形態、ハンディキャップの形態やそのタイミングなど慎重な検討を要する項目が数多くある。また問題の性質上動学モデルの構築が必要となるが、これは分析を複雑にさせる大きな要因である。本研究の主な貢献はハンディキャップに関する新しいアイディアをゼロから生み出すことにあり、そのためにはモデルの斬新さと簡明さがきわめて重要となる。平成28年度はモデルの構想、特に競争の形態の構想に多くの時間を費やした。競争の形態としてプレーヤーのパフォーマンスが努力とノイズの和によってあらわされるようなモデル、またTullockコンテストによって勝者が決定されるようなモデルを考察したが、いずれの場合も複数期間にわたるモデルではいずれも分析が複雑になりすぎ、また単一期間のモデルでは常識的な結論しか期待できないことが判明した。このため28年度中に簡明で斬新的という所期の目的を達成するモデルの確定に至らなかった。なお本研究で提案するのは競争を行う複数のプレーヤーとハンディキャップを与える別の経済主体の存在するモデルであるが、似た構造を持つモデルを扱った社会学習の共著論文が2016年度中に国際学術誌Journal of Economic Theoryに公刊された。(論文の項参照。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記のような困難に直面しているために研究の進捗は著しく遅れている。モデルに関する構想が固まればそこから本格的な分析へは比較的円滑に移行できることを期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの方針をもう一度見直し、一から構想を練り直して理論モデルの構築を引き続いて行う予定である。本年度には他の研究と並行して本研究の理論モデルを完成させることに注力し、本格的な分析に移行することを目標とする。
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Causes of Carryover |
研究の主眼となるモデル構築の遅れに伴い、当初予定していた報告等に関しても延期する必要が生じている。また使用を予定していた一部ソフトウェアについて現段階で購入が不要との判断に至った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進展に伴い、報告できる水準に達した場合には旅費等に充当する予定である。また必要に応じてリサーチアシスタントの短期的な雇用も検討する。
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