2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15K13006
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青柳 真樹 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50314430)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | トーナメント / ハンディキャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
競争者のパフォーマンスを相対的に順位づけし、それによって報酬や昇進などが決定されるランクオーダートーナメントは理論経済学において大きな注目を集めている。すべてのプレーヤーが平等な条件の下で努力を行い、最終的なパフォーマンスが最も高いプレーヤーを勝者とするのが通常の勝者決定ルールである。これに対して、特定のプレーヤーの努力費用を軽減したり、あるいはパフォーマンスの評価の際に非対称的な基準を用いたりすることがハンディキャップに相当する。例えばプレーヤーの能力に大きな差がある場合に、あらかじめハンディキャップを設けることでより平準化された競争条件を作り出し、プレーヤーからより大きな努力を引き出す試みはスポーツ等でよくみられる。本研究の目的は、どのような種類のハンディキャップを、どのようなタイミングで、どのプレーヤーに適用するのが最適であるかを理論的に分析することにある。具体的には以下の二つの課題について検討を行った。(1) 競争者の能力に不確実性があり、パフォーマンスが競争者の能力と努力の双方に依存する状況を考える。より能力の高い競争者をなるべく高い確率で勝者として選ぶには、競争にどのようなハンディキャップを設けることが最適か? (2) 特定の競争者の勝敗によってその利得が影響を受けるような第三者が、競争者を資金的に援助するなどして支持する状況を考える。他の支持者の決断や、競争者の努力のインセンティブに与える影響を考慮した時に、そのような第三者はどのようなタイミングで支持を行うのが最適か? 本課題ではこれらの問題について時間をかけて考察を行ったが、今年度までに残念ながら望ましい結果は出ていない。モデルの構築が非常に難しく、分析可能でかつ含意に富む結論を導くことのできるようなフレームワークの構築にはさらに時間がかかると想定される。
|