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2017 Fiscal Year Research-status Report

経済思想における社会的価値:19世紀イギリスを中心に

Research Project

Project/Area Number 15K13008
Research InstitutionSaitama University

Principal Investigator

柳澤 哲哉  埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (90239806)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2019-03-31
Keywords慈善 / 社会的価値 / マルサス / チャーマーズ / ペイリー
Outline of Annual Research Achievements

29年度の研究実績は以下の2点である。
(1)社会的価値の一つとしてコミュニティの維持や家族の維持と密接に関連する私的慈善の役割を検討した。主要な対象は前年度から検討しているチャーマーズ、マルサスを中心に、ペイリー、サムナーも加えた。マルサスの通説的な解釈に典型的に見られるように、私的慈善は救貧法の代替として位置づけられることが多かったが、ペイリーに代表される慈善と救貧法を相互補完的に位置づける見解が、マルサスも含めたその後の論者に受け継がれていくことを確認した。旧来の慈善の役割は次第に変質し、1830年代の救貧法論争の中ではコミュニティの変質に対応した社会的意識の涵養といった役割が慈善に期待される傾向が強まっていく。
(2)27年度から継続してクレマスキ説の検討を行った。特にマルサス『人口論』各版における徳の扱いの変化の有無を検討した。結論としてはクレマスキの主張する本質的な変化は妥当な解釈ではなく、主要な要素は2版から存在することを明らかにした。ただし、マルサスの功利を規定する要素は狭義の経済的価値に解消されない多様なもので、快楽の質的な相違をも容認する方向を持つ。社会的価値をも幸福の要素と見なすことで、マルサスを功利主義とする位置づけは補強されることになる。こうした見解は、例えば『人口論』2版をして国家の富ではなく、コミュニティの幸福の増大を追求したと解釈したトマス・ロビンソンのように、同時代人にも見出すことができる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

社会的価値の考察と関連するクレマスキ説の再検討に時間がかかり、公表を予定していた停止状態に関する論文の完成が遅れた。なお、研究期間の1年延長が承認されている。

Strategy for Future Research Activity

救貧の理念と市場の認識について、6月に予定されているマルサス研究会に向けて報告準備を行うとともに、研究期間の延長が認められた30年度内に論文の公表を目指す。

Causes of Carryover

30年度6月に予定されているマルサス研究会に出席するための旅費として未使用額がある。なお、1年間の研究期間の延長が承認されている。

URL: 

Published: 2018-12-17  

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