2015 Fiscal Year Research-status Report
海外出稼ぎ労働と労働輸出国の人的資本蓄積:ネパール児童への「健康投資」
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15K13012
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
橘 永久 千葉大学, 法政経学部, 教授 (70301017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 武司 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40343769)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海外出稼ぎ / 人的資本 / 児童の健康 / ネパール |
Outline of Annual Research Achievements |
ネパール西部地区丘陵地帯6か村において、ランダムにサンプルした122家計の構成員に対する健康(身長・体重・血圧)測定・個人経済調査を、2016年3月中旬から開始した。また、2015年4月25日に発生したネパール大震災によるストレスの影響を分析するため、申請時に予定していた血液検査に替えて、合意を得られた個人から長い髪の毛をサンプルしている。現在までに、45人(全員女性)から髪の毛をサンプルすることができた。震災前後の毛髪の各部分を専門のラボで比較分析することにより、震災によるストレスの強度と、そこからの回復の速度を計測することが可能となる。 実施当初から、認められた予算規模に合わせて申請した300家計から調査対象数を削る予定ではあった。しかしながら調査地ネパールでは、2015年夏(現地が調査可能な乾季に入る)頃から、新憲法制定に伴う隣国インドとの関係悪化により、ガソリン代がそれ以前の4倍の水準にまで高騰した。この燃料費高騰(レンタカー代高騰)は2016年2月ごろまで続き、科研Bで実施中のネパール丘陵地帯での森林測定に合わせて、50地域で本件の個人健康調査を実施するという当初案は実施不可能となった。 そこで、2014年に森林計測を実施した西部の4森林周辺6か村に対象を絞り、本件の測定・調査を実施することとした。この6か村では、個人の身長・体重・血圧に関しても、2014年に一度データを収集している。よって、2015年4月25日に発生したネパール大震災の悪影響を、研究テーマである出稼ぎによる仕送りがどれだけ緩和したかも、本件の当初の計画に加えて検討可能となる。この震災影響の分析が、調査地変更の最大の理由である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
燃料費高騰の終息を待っていたため、調査開始が年度末近くの3月中旬となった。年度末までに調査が完了したのは、3か村の60家計・235人という状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年10月に現地が乾季入りした後、残りの3か村での調査を開始する。毛髪分析用の研究費を申請するため、現在までに調査を終えた3か村の60家計・235人に関する分析は、10月までに別途先行して行う。
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Causes of Carryover |
申請時は、全調査を2015年度中に終える予定であった。しかし調査地ネパールでは、2015年夏から、新憲法制定に伴う隣国インドとの関係悪化により、ガソリン代がそれ以前の4倍の水準にまで高騰した。調査に不可欠なレンタカー代金は、燃料費以上の高騰となった。燃料費高騰の終息を待つうちに、調査開始時期が年度末近くとなってしまった。年度内に対象家計の半分までしか調査を終えることができなかったため、次年度使用額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ネパールで次の乾季が始まる10月に入ってすぐ、残りの3か村での調査を開始し、12月までに完了させる予定である。
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Research Products
(2 results)