2015 Fiscal Year Research-status Report
入札データを用いた地域電力市場のミクロ・マクロ分析
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15K13014
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
岡本 亮介 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60323945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 誠 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (10377137)
細江 宣裕 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (60313483)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電力市場分析 / 電力小売り入札 / 卸市場 / 送電線 / 再生可能エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
電力小売り市場分析のために官公庁が実施している小売り入札データについて収集を行った。電力卸市場の分析では、9地域の空間的部分均衡モデルを、東日本大震災前の時点での各地域の発電所の設備容量・発電単価、毎時の需要データを元に構築した。このモデルを用いて、原子力発電所が停止した場合の影響と、その停止した原子力発電所と同じだけの設備容量を持つガスタービン複合火力発電所を導入した場合の影響についてシミュレーション分析を行った。なお、原子力発電所の停止パタンについては、すべての原子力発電所が停止した場合、沸騰水型のみ停止した場合、機齢30年超のみ停止した場合の3種類を考慮した(それぞれに応じて、補完的に導入する火力発電所の容量は異なる。)こうしたショックの影響を、各地域の卸市場における電力価格や、地域間の送電線の設備利用率・混雑の発生度合いといった観点から吟味した。この研究については、査読付き学術雑誌において公刊した。 また、ミクロ・レベルの家庭のデータを用いて、太陽光発電システムをもつ家庭(PVプロシューマー)の行動について分析した。特に、買電価格と売電価格を変化させることにより、PVプロシューマーがどのような需要反応(デマンドレスポンス)を示すかを調べた。フィールド実験のデータを解析した結果、PVプロシューマーのデマンドレスポンスは、太陽光発電システムをもたない一般世帯に対する効果の4分の1程度にとどまることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卸市場分析と再生可能エネルギーに関する分析の研究成果を、学術雑誌に公刊できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
卸市場分析については一定の成果を得たので、今後は、小売市場の入札データ分析と再生可能エネルギー等の新エネルギーを中心とした分析を行ない、その成果を査読付き学術雑誌に公刊していきたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた小売りデータ分析等のためのデータ入力のアルバイト代や電力関係施設に関する現地調査、学会出席費等が、慎重な執行と費用の積極的な節減を通じて、本務校の個人研究費で賄うことができたため。ただし、一部の電力関連施設の現地調査について、スケジュールの都合上すべては実行できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度以降に行われる研究集会の開催費用と電力関連データ入力、および、過年度にスケジュールの都合上完全に実施できなかった電力関連施設の現地調査を積極的に行う。これによって、これまでに得られた研究成果を、現実の電力市場や取引実態に照らして、両者のあいだに乖離がないことを確認するために使用する計画である。
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