2018 Fiscal Year Annual Research Report
Economic spillovers and firm movements between countries with full employment and stagnation
Project/Area Number |
15K13016
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野 善康 大阪大学, 社会経済研究所, 特任教授(常勤) (70130763)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 失業 / 労働移動 / 地域別経済厚生 / 生産補助金 / 一括補助金 |
Outline of Annual Research Achievements |
「地方」と「中央」からなる2地域(あるいは2国)モデルを考え、各地域で失業のあるなしという意味で雇用状況が異なり、そのため労働者が高い期待賃金を求めて地域間を移動する場合の、補助金(援助金)のあり方について分析した。補助金は、通常、低開発地域に供給されるため、地方には産業が1つしかなく、中央は2つの産業があると仮定した。そのうえで、地方に一括補助金が支払われている状況を出発点として、その補助金を生産補助金、雇用補助金、賃金補助金などの労働流入や産業振興を目的とする補助金に切り替えた場合の、地方と中央の経済厚生への影響を分析した。 その結果、一括補助金から産業振興的あるいは労働流入促進的なものに代えた場合、補助金の一部が新たに流入した労働者に流れることになっても、補助金の再分配効果は無視できるほど小さく、両地域への経済厚生への効果は交易条件効果と雇用創出効果だけに注目すればいいことがわかった。さらに、地方産業が労働集約的か否か、失業があるかないかによって、地方と中央の経済厚生への効果が大きく異なってくることが示された。 次に、国際的に大きな問題となっている移民が国内の景気や雇用に及ぼす影響に関する分析に着手した。そこでは、自国の景気が完全雇用なら、移民は自国の景気にプラスの影響を及ぼすことがわかった。さらに、その効果は移民の数が多いほど、また移民が豊かであるほどよい影響をもたらすことがわかった。ところが自国経済が不況であれば、移民はデフレを激化させて不況の深刻化をもたらすことがわかった。さらに、その悪影響は、移民が多いほど、また豊かであるほど大きいこともわかってきた。
|
Research Products
(3 results)