2017 Fiscal Year Research-status Report
大学研究者の論文生産性と研究資源に関するデータベース
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15K13018
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
乾 友彦 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (10328669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
枝村 一磨 文部科学省科学技術・学術政策研究所, その他部局等, 研究員 (20599930) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経済政策 / 生産性 / 研究開発 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
Scopasのデータによる書誌情報を活用して、大学別、研究者別、分野別の論文出版数、それぞれの論文の引用情報に関するデータベースを完成させた。その際、機関名や研究者名のゆらぎを修正したうえで、共著者の所属先や国籍の情報を整理した。このデータベースの共著者情報を使用して、ネットワーク分析を実施している。特に薬学、環境サイエンス、環境エンジニアリング、公害、人工知能(AI)の分野に関して、共著者間の近接性を計測した。ネットワークの全体像の視覚的な把握するため、ネットワーク相関図を作成した。年ごとのダイナミックスを検証するため、1996年、2000年、2005年、2010年、2011年、2012年、2013年のそれぞれの年について分析した。 関連研究として、企業が工場に研究開発機能を付設する決定要因として大学等公的研究機関が与える影響を考え、工場立地動向調査の個票データや科学技術研究調査、R-JIPデータベースを用いて実証分析を行った。工場の特性、工場が設置される地域の特性、産業集積を考慮した上で、大学等公的研究機関の立地が工場への研究開発機能付設に与える影響をロジット・モデルによって推計した。公的研究機関と大学に関連する要因について検証すると、最寄りの公的研究機関、大学までの距離の係数が有意にマイナスであったことと、工場の半径30km圏内にある大学の学部数、大学で使用される研究費の額、公的研究機関や大学に所属する研究者数の係数が有意にプラスであった。これら一連の分析結果は、大学や公的研究機関から近く、研究規模が大きい大学や公的研究機関が周辺にある工場ほど、研究開発機能が付設される確率が高いことを示唆している。つまり、企業は、大学等公的研究機関に近い場所に工場を設置する際には、研究開発機能を付設する可能性が高いことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
データベースの作成の完成が遅れことおよび推計手法の見直しを行ったため、推計作業を開始が遅れたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
完成されたデータベースを使用して、以下の2点に関する研究を行う。 1)大学の論文生産性の決定要因を分析する。その際、大学の研究費の状況、ガバナンスの状況を考慮に入れる。 2)共著者のダイナミクスを分析する。共著関係の参入、退出、存続の関係を分析する。
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Causes of Carryover |
日本の研究者の論文データベースを作成するために想定以上の時間かかり、分析に着手することが大幅に遅れた。近年のネットワーク理論の発展を受けて各研究者の共著の情報を使用して新たにデータベースの構築を試みているが、ネットワークの距離、セントラリティ等の指標を様々のバリエーションにより検討をしているため、多大な時間が必要となった。
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