2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13021
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
吉見 太洋 南山大学, 経済学部, 准教授 (30581798)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自由貿易協定 / 原産地規則 / 為替相場 / 国際価値連鎖 / 貿易頻度 / 輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主な目的は、自由貿易協定(Free Trade Agreement, FTA)特恵税率の利用に対して、為替相場が与える影響を理論と実証の両面から明らかにすることである。特に実証分析では、ASEAN韓国FTA(AKFTA)の製品レベルデータを用いている。現在は頑健性の検証も含めてほぼすべての分析を済ませ、ディスカッションペーパーとしての出版に向けて準備を進めている。当初予定をしていた中国のデータを用いた分析については、データの特性を鑑みて分析を進めることが可能かについて深く検討を行っている。また、FTA利用率がそもそもどういった要因によって決まるのかといった観点から、タイの税関データを用いた新たな研究も進めている。具体的には、輸入企業の特性が企業レベルのFTA利用率にどういった影響を与えるかについて分析を加えている。また同様のデータを用いて、中間財輸入における非効率な税関処理が最終財の輸出にどういった影響を与えるかについても検証をしている。当該研究については既に、一編のディスカッションペーパーを出版済である(Hayakawa, Kazunobu, Nuttawut Laksanapanyakul and Taiyo Yoshimi. 2016. Effect of import time on export patterns. IDE Discussion Paper No.566 (March).)。更に、世界規模の製品レベルデータを用いた特恵税率の段階的低下がもたらす貿易創出効果の分析や、複数のFTAスキーム間の選択に関わる研究等にも着手している。これらのテーマについても既に主だった分析を済ませ、国内外でのセミナー発表等を行い、複数の学会発表も予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画においては、韓国と中国のデータそれぞれを用いて、為替相場とFTA利用に関する分析を行い、二編の論文を執筆する予定であった。しかしながら中国のデータに関しては、データの特性を鑑みて、分析に関して慎重な検討が必要であることが明らかになった。したがって、為替相場とFTA利用の関係に関する分析という意味からは、現状一編の論文が完成間近という状況である。しかしながら、【研究実績の概要】にあるように、多くの派生的研究を現在同時並行で進めている。このことから、中国のデータを用いた分析の進展については予定より遅れているものの、それを十分に補う研究課題の進捗が得られていると考えている。したがって、本研究課題は概ね順調に進展していると言うことが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2016年度は、まずAKFTAデータを用いた論文に関して、査読付き国際誌への投稿を行う。また、【研究実績の概要】で述べた複数の派生的研究から、更に数編の成果論文をディスカッションペーパーとして出版することを考えている。既に基礎的な分析と頑健性の検証を終え、執筆が概ね済んでいるものも複数あることから、少なくとも追加的に二編程度のディスカッションペーパー出版が可能であると考えている。
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Causes of Carryover |
当初予定よりも書籍や資料の購入額が少なく済んだため、若干の次年度使用額が出る結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
韓国のデータを使った論文を学術誌に投稿する際の投稿料として使用したいと考えている。
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