2015 Fiscal Year Research-status Report
現代日本社会が必要とする金融経済教育と金融リテラシーの体系化の試み
Project/Area Number |
15K13025
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
家森 信善 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (80220515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 光芳 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80298504)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金融経済教育 / 金融リテラシー / 地方創生 / 地域格差 / アンケート調査 / 地域経済 / 金融行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
金融経済教育の重要性について、内外で広く認識されるようになってきた。しかし、我が国では金融経済教育や金融リテラシーを巡る研究はようやく端緒についたばかりであり、研究を本格化させる必要性がある。さらに、地域間の経済格差が大きな問題になり、地域再生・地域創生が政策的な大きな課題となっている。今回、挑戦的な試みとして、この二つの問題を関連づけて、金融経済教育によって金融リテラシーを高めることが、長期的に見て地域間の経済格差の解消につながるのではないかとの問題意識を持って、現代日本社会において求められている金融経済教育と金融リテラシーの内容を検討し、体系化することを目指している。 本年度は、金融リテラシーに関連するアンケート調査の結果を利用して、金融リテラシーの現状について詳しく分析を行った。第1に、生命保険文化センターが実施した「生命保険に関する全国実態調査」を利用して、保険に関するリテラシーと保険選択行動の関連を分析した。これについては、『個人金融』、『生命保険論集』において論文を公刊した。第2に、住宅ローンの選択行動と金融リテラシーの関連を分析した。これは、家森・上山(2016)「金融リテラシーと住宅ローンの比較行動」(『ファイナンシャル・プランニング研究』15号)として公表するとともに、日本応用経済学会において招待講演、および日本FP学会において学会賞受賞記念講演を行った。第3に、20歳代30歳代の若者に対する4000人規模のアンケート調査を実施した。これについては、回答結果を、家森信善・上山仁恵「若年社会人の金融経済教育と金融行動―2015年12月実施の実態調査結果―」(神戸大学経済経営研究所 DP2016-J02 2016年3月)として取りまとめたところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、成果欄に示すように本プロジェクトに関連する多くの論文を発表することができた。また、外部のさまざまな機関から本テーマに関連する講演要請などもあり、本プロジェクトの社会的な意義も確認できた。 以上より、上記のような自己評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年3月に実施したアンケート調査を地域の観点で整理することが第1の課題となる。匿名アンケートではあるが、現在の居住地は判明しているし、学生時代の居住地を質問してあり、金融リテラシーと地域創生の観点で回答結果を分析する予定である。第2に、引き続き、金融リテラシー研究のサーベイや他の調査結果の検討を行う。第3に、セグメントを絞った上で、追加的な調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度は、先行アンケート調査のデータの提供を受けることができたために、それを利用した分析を行うことにして、直接的な費用がそれほどいらなかった。また、別の研究会で研究代表者と分担者が定期的に会うことができることになったために、予定していた旅費を使う必要がなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、多額の費用のかかるアンケート調査を実施する予定であり、この次年度使用額を活用して、サンプルをできるだけ多くしたいと考えている。
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Research Products
(7 results)