2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
江夏 幾多郎 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (00508525)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人事システム / 整合性 / 意味形成 / 利害調整 / 実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
人事管理は,雇用関係に関する様々な施策や,施策の設計・運用といった様々な実践が複雑に影響しあいながら,企業やそこに所属する従業員に影響する。そして,要素間の機能的な連関としての「システム性」は,客観的に定義できるものではなく,人事管理に関わる様々な利害関係者の間の解釈のすり合わせを通じて成立する。 本研究では,そうした事象についての理論的な解明と経験的調査を行うことを目的としている。それに関し,平成28年度は,以下の2点の作業に着手した。 第一に,人事評価・報酬が従業員に受容される条件についてのサーベイ調査(2015年に実施)で収集されたデータの再分析・再解釈と,その結果の公表である。従業員が人事評価・報酬を受容するにあたっては,評価や報酬の水準,それらの決定過程といった個別要素が妥当なものであることは重要である。しかしそれらの重要性は,個別要素そのものではなく,それらの折り重なりとしての人事評価・報酬が「全体として公正である」と従業員に解釈されるが故のものである。こうした「総合的公正判断」ひいては人事システム全体の質向上において,人事評価・処遇のすべての要素を充実させることは必要であるとは限らないし,良質という知覚は評価・報酬の水準の高さ(≠妥当性)によっても引き出される。「システマティックな人事」は,利害関係者のこうした場当たり的な判断の上に立つものである。 第二に,平成29年度に行う,採用機能と配属機能の連携が成立するメカニズムについての事例研究のための,研究計画づくりと,調査協力企業の確保を行なった。先述のように,人事管理に関する有意味な(と当事者に認識される)実践においては,細部の矛盾が大なり小なり存在する。にもかかわらず円滑に進められる活動とそうでない活動を分ける要因について,インタビュー調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していた大規模な調査の実施が難しくなったため,中規模以下の調査を複数の企業,様々な調査法によって行うこととした。平成28年度は調査計画の仕切り直しを行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の第一の活動内容については,今年度の早い時期に論文にまとめ,査読付き学術誌に投稿する。第二の活動内容については,今年度の第一四半期中に調査の概要を確定し,第二四半期に調査を行い,年度の後半で適宜研究発表を行いながら取りまとめる。
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Causes of Carryover |
平成28年度に行う予定だった企業訪問調査のための費用(すなわち交通費)が,研究計画の変更に伴って不要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
必要な物品は平成28年度内に購入したため,首都ひて消耗品とリョキ,テープ起こし等にまつわる人件費のために資金を使用する。
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Research Products
(2 results)