2015 Fiscal Year Research-status Report
産業集積における事業転換の研究 -脱伝統産業における地域の企業家の役割を中心に-
Project/Area Number |
15K13038
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
出口 将人 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40305553)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経営戦略 / 産業集積 / 事業転換 / 企業家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題に関係する公表資料、先行研究などの収集、分析をおこなうと同時に、産業集積のレベルでの事業転換を実現した地域についての現地調査をおこなった。 具体的には、第一に、主としてマクロ・レベルの統計資料にもとづいて、国内の主要な産業集積の経時的な変化と現状、すなわち、伝統産業をコアにしたものを中心に、かつて日本の地域経済の柱であった産業集積の多くが中国をはじめとする海外の地域との地域間競争によって危機的な状況にあること、その一方で、事業転換によって発展をとげた地域があることを明らかにしたうえで、それらの地域(燕、静岡、浜松、鯖江、岡山)にかんする資料や先行研究について整理した。このうち浜松、燕については現地調査をおこなった。 第二に、これと並行して従来の産業集積についての研究をレビューし、そこでは所与の集積の強みを特定することが主たる課題とされる一方で、集積レベルの事業転換やそこでの地域企業家の役割や活動についての研究はあまりおこなわれていないことを確認した。 そして第三に、このような産業集積論のエアポケットともいうべき研究課題にたいする理論的フレームワークの構築のために、産業集積の事業システム、地域起業家の資質と役割、事業革新のプロセスにかんする先行研究の文献レビューをおこなった。 これらの成果として、上述の個々の地域のケースのほか、「日本の産業集積の発展と現状」、「産業集積のカテゴリー」、「産業集積における地域企業家」をテーマとした論文(DPおよび研究ノート)を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現地調査をふくめた個々の産地の調査、研究を予定よりも前倒しにしたため、当初の計画では1年目におこなう予定であった「産業集積の発展と現状」、「産業集積のカテゴリー」や理論的なフレームワークにかんする研究ノートの作成に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究のレビューをつうじて理論的フレームワークを構築する一方で、事業転換を実現した複数の産業集積についての調査を継続し、それにもとづいてそれぞれについてのケースを作成する。そのうえで、それらのケースの比較をつうじて、産業集積の事業転換における地域の企業家の役割についての理論的、実践的なインプリケーションを引きだす。
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