2015 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブビジネスによる国際開発支援の社会・文化的影響と持続可能性に係る研究
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15K13049
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Research Institution | Japan International Cooperation Agency (Research Institute) |
Principal Investigator |
下田 恭美 独立行政法人国際協力機構(研究所), その他部局等, 研究員 (30746483)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インクルーシブ / ビジネス / 持続的開発 / 貧困削減 / ジェンダー / BOP / キルギス / ラオス |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画・方法に従い、文献レビューを行いながら、国内外の関係者への聞取り調査を実施し定性データの収集を行った。まず、キルギスの事例については、1回目の調査を2015年6月21日~27日にかけて実施。生産管理を目的としたA社の出張に同行し、現地の状況を確認するとともに、A社社員や現地生産者にインフォーマルインタビューを行った。11月15日~12月5日に2回目の現地調査を行い、フェルト生産者(およびその家族)を中心に個別インタビュー(32人:男性9人、女性23人)、グループインタビュー(3グループ)を実施した。2017年2月には、JICA研修のため来日したキルギス政府関係者及び生産者組合スタッフの研修や視察に同行することができ、数日間の参与観察およびインフォーマルインタビューを行った。収集したインタビューデータについては現在分析中であるが、ビジネスに関わるようになった生産者の背景、家族との関係性等の一部を明らかにする貴重な証言が得られている。 キルギスと比較する予定であったカンボジアでの事例については、A社と相談の上、より適切と判断されたラオスの事例を対象とすることになった。1回目の現地調査は2016年1月10日~14日に実施。A社の生産管理出張に同行し、現地の状況を確認するとともに、現地キーパーソンから2回目の調査(平成28年度予定)への協力について快諾を得ることができた。 研究初年度だったこともあり、文献レビューおよび現地調査による定性データ収集が主な活動であり、発信という形での成果はほとんどないが、国内関係者のインタビューを基に、同志社大学で開催されたカンファレンス(2015年7月11日~12日)で、インクルーシブビジネスにおける人的ネットワークの重要性について発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
キルギスにおける現地調査については、非生産者へのインタビューを除いて概ね計画通りに進んでいる。一方、比較対象国については、A社との調整でラオスの事例を対象とすることになり、A社の生産管理出張に同行しての1回目の調査が1月になったため、2回目の現地調査が準備の関係で未着手となった。また、時間がかかる海外現地調査を優先してデータ収集を行っているため、国内関係者、特にA社社員を対象とする聞取り調査が若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外での聞取り調査を継続し必要な定性データを収集する。ラオス(2回目)、キルギス(3回目。非生産者中心)、国内(A社社員中心)でインタビューおよび参与観察を行う予定である。海外での聞取り調査は通訳を介してインタビューを実施しているが、ラオスでは固有のエスニック言語を使用している現地生産者をインタビューするため、場合によっては通訳を二人傭上する必要がでてくると思われる。調査後のテープ起こしおよび翻訳のやり方にも何らかの工夫をする必要があると共に、通常よりも時間が掛かかることが予想される。また、可能であれば、ラオスの工場で働く労働者を対象に簡単なアンケート調査をしたいと考えている。平成28年度前半にほとんどの現地調査を終了し、その後は、データ分析、論文執筆等の作業を推進する予定である。
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Research Products
(1 results)