2017 Fiscal Year Research-status Report
デスティネーション・マーケティングの「実践」過程に関する研究:関係性概念を中心に
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15K13050
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤田 健 山口大学, 経済学部, 准教授 (50311816)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | デスティネーション・マーケティング / 商店街の観光化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目的は、DMOと緊密な関係を持ちながら観光化を進める商店街に焦点を当て、地域の関係性のなかでいかに観光目的地マーケティングが実践されているのか、マーケティング実践が成果とどのような関係にあるかを明らかにすることであった。本研究の成果は以下の通りである。 1.文献サーベイと比較事例研究 第1は、商店街研究と観光ボランティアガイド組織に関する研究のサーベイを実施し、商店街研究と観光ボランティアガイド組織研究との関係やその研究課題を明らかにしたことである。第2は、昨年度までの調査対象に対してより深い調査を実施するとともに、類似事例の探索的調査を行うことで、商店街組織において観光化を分析する要点を明らかにした。 2.研究成果の発表 本年度の研究成果は、日本観光研究学会の全国大会の場で発表した。発表内容は、商店街組織が衰退する中、商業者たちがボランタリーな観光ガイド組織を立ち上げて運営する事例の意義を検討するものであった。この事例の要諦は、営利性を追求する商業者が、非営利性を装う巧みな仕掛けをつくることで、継続的な観光客の受け入れを実現していることであった。そのような仕組みがあるからこそ、地域のDMOとの関係が緊密になり、商業者の活動が公共的なマーケティングの文脈に取り込まれることで、さらに多くの観光客の受け入れができたほか、他の営利組織とのコラボレーションも実現していると言える。こうした発表を行ったのち、近接分野の研究者との議論を通して、今後の研究の方向性について貴重な示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は文献サーベイや比較事例研究に多くの時間を割き、一定の研究成果を残すことができた。そうした研究実績を残せた反面、アンケート調査を実施する時期が後ろ倒しになってしまった。仮に調査を実施しても、有効回答率が低くなることが予想されたため、アンケート調査については、有効回答率の高まる時期に実施するべく、次年度へと遅らせることにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題は、本研究の目的であるデスティネーション・マーケティングの実践過程を定量的にも明らかにすることである。次年度は、これまでの研究過程で構築した送付先データベースを活用し、アンケート調査を速やかに実施する。アンケート調査の結果は学会発表原稿やディスカッションペーパー等にまとめて研究者間で議論を深め、その成果を論文にして発表する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はアンケート調査の設計・実施に伴う研究費を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度はアンケート調査の設計・実施、及びその成果発表のために研究費を活用する計画にしている。
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Research Products
(1 results)