2016 Fiscal Year Research-status Report
「買い物弱者」としての在外子育て家庭の研究:国内流通課題への適応可能性
Project/Area Number |
15K13052
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
久保 康彦 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (30413157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 幸倫 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (60449113)
鈴木 涼太郎 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (70512896)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 買い物弱者 / 在外子育て / 子育て商品 / 商品調達 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究目標は在外日本人子育て家庭の子育て商品の買い物行動分析から現地での商品流通と商品調達方法を明らかにし、日本国内の「買い物弱者」問題への示唆を得ることである。本年度はベトナムのホーチミン(昨年度はハノイとタイのバンコク)の日本人子育て家庭へのインタビューを行い、商品調達方法の現状についての調査を行った。合わせて日本の小売業の進出が著しいこともあり、店舗調査と店舗内での買い物観察調査を行った。 ベトナムを含めASEANへの日本企業の進出は著しい。以前はメーカーが中心であったが、近年は日本の大手流通企業の海外進出も増加している。インタビューからも明らかになったが数年前より格段と日本商品は手に入りやすくなっている一方、生活維持のための商品は増加し、個々のニーズが多様化するなど、駐在生活で個々のニーズを充足することは極めて困難であるといえる。特にそれは「子育て商品」において顕著である(「子育て商品の特殊性」)。 重要な知見として、子育て家庭の商品調達における「在外」であることの特殊性として以下の3要因が明らかとなった。(1)購入者(顧客)と使用者(ユーザー)要因。過去の購買経験が役立たず、情報は質・量ともに不足し、使用者のニーズを購入者が代理する形態であること。(2)安心・安全要因。日本からの物理的距離からくる心理的不安と日本ブランドへの過度な期待。(3)必需性要因。代替可能性が低く、どうしても手に入れなければならない。 さらに、在外子育て家庭における商品調達の意思決定に大きな影響を与える規定因として、(1)企業の福利厚生制度、(2)両親以外の子育て商品購入者あるいは支援者の存在、(3)現地選好度の重要性を指摘することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイとベトナムの在外子育て家庭における子育て商品調達の分析と類型化を行うことができた点は大きな前進であった。
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Strategy for Future Research Activity |
調査結果を踏まえてまとめの段階へつなげる。
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Causes of Carryover |
当該年度に計画していたインタビュー調査を行う予定であったが、それを行うためのインタビュイーへの調整と前段階での調査が必要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビュイーの調整を行い、急きょ必要となった前段階調査を実施し、事前に計画していた当該年度中のインタビュー調査を実施する。
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