2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15K13052
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
久保 康彦 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (30413157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 幸倫 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (60449113)
鈴木 涼太郎 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (70512896)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 買い物弱者 / 在外子育て / 子育て商品 / 商品調達 / 買い物行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は「買い物弱者」問題解決の糸口を新たなフィールドでもある在外子育て家庭に求めその可能性を探索することであった。しかし、調査を進める中で在外子育て家庭におけるネット通販の重要性は買い物行動を検討するうえで避けては通れない問題であることが明らかとなった。 そこで、インターネットの登場が買い物行動をどのようかえるのか、また、従来流通論やマーケティング論で議論されてきたような売買関係の延長や管理構造の問題だけでネット販売を捉えるのではでなく、売買関係も内包した調整概念、つまりネットワークとして捉えることの必要性が浮かび上がってきた。このような点は東南アジアにおける子育て家庭の事例研究でみられた互酬的な手段による調達方法やバザーのような形態での取引などが重要な役割を果たしていた点と共通していた。まさに、買い物弱者としての在外子育て家庭に焦点をあてた研究であったからこそ明確になった点であるといえる。 あらためて在外子育て家庭研究から得られる「買い物弱者問題」一般への示唆をまとめると、ネット通販がそのまま買い物弱者問題解決の切り札となることは難しいであろうという点。むしろネット通販を機能させるために新たに創出する消費者の欲望や技術の周辺部でブリコラージュ的に生成される人的ネットワーク、それに関連して行われるインフォーマルな活動を幅広く視野に入れることが必要であるということが明らかになった。さらに東南アジアにおける在外子育て家庭の事例研究によって、「買い物弱者」とは外部から客観的な指標によって定義できる側面は少なく、大部分の当事者の主観による側面が大きく、買い物弱者が抱える欠乏感や窮乏感が相対的であるという点も大きな発見であった。
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