2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13054
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川上 智子 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (10330169)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 新製品開発 / ウェアラブル端末 / 普及要因 / 顧客価値 / 購買意図 / 国際研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,ウェアラブル端末の普及や知覚価値に関する先行研究のレビューを行い,それらの検討結果も参考に,今後の市場拡大が見込まれる医療用ウェアラブル端末を対象とした研究を行った。 まず,前年度に収集したデータを分析して執筆した論文を6月にデンマークで開催されたInternational Product Development and Management Conference (IPDMC)で報告し,フィードバックを得た。この論文では,ウェアラブル端末の購買意図にスマートフォンや万歩計といった類似製品の使用経験が影響することが明らかになった。また,ウェアラブル端末の使用方法を学習することへの感情的な喜びや期待感が高いほど,購買意図が高まることも実証された。 知覚価値の研究に関しては,特に情緒的価値と関連性の強いデザイン志向と新製品の成功に関する文献研究を行い,医療マーケティング研究会で報告した。9月には,市場導入後に新製品が普及し市場拡大するための要因に関し,フランスにあるブルーオーシャン戦略研究所を訪問し,専門的知識の提供を受けた。 さらに11月には,ヘルスケアカンファレンスに参加し,医療分野におけるウェアラブル端末の導入状況に関する最先端の情報を収集した。メガネ型ウェアラブル端末のメーカーとの定期的な情報交換も行っている。 2月にはウェアラブル端末の購入に関する消費者対象の質問票調査を実施し,その分析結果に基づいて執筆した論文が,6月にイギリスで開催されるIPDMCに受理された。この研究では,ウェアラブル端末の今後の重要なターゲットである高齢者層を対象に調査を行い,機能や性能よりも,孤独感という情緒的な側面が購買意図に影響することを明らかにした。 執筆した複数の論文は,ウェアラブル端末を開発する国内外のメーカーに送付し,意見交換や議論を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通りに文献研究,インタビュー調査,および質問票調査を実施していることに加え,執筆した論文が2年連続で国際会議で発表する機会を得たことは,期待以上の成果である。 また,国内外のウェアラブル端末開発メーカーとも良好な関係を構築しつつあり,開発側と消費者側の両方の視点から,多面的な研究が行えている点も予想以上の成果である。 さらに,シンガポールのアジア消費者インサイト研究所の研究者2名と今後の共同研究について相談を始め,国際比較に関しても具体的な検討を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外のメーカーや研究者との連携をさらに強め,多様な視点を取り入れつつ,ウェアラブル端末の普及要因に関する概念モデルを構築し,独自性が高く実践に役立つ研究へと展開させていきたいと考えている。 平成28年度はイギリスの国際会議で研究発表を行う予定であるため,イノベーション分野の研究者とこの研究テーマに関する深い議論を行い,フィードバックが得られるものと期待している。 また,バーンド・シュミットが設立したシンガポールのアジア消費者インサイト研究所の研究者が6月に来日し,打合せを行うことが決まっている。今後,アジア諸国のウェアラブル端末普及研究と連動させることで,顧客価値の文化的多様性についても考察できる可能性が高い。
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Causes of Carryover |
2015年3月の出張が支出のタイミングの問題で収支に反映されていないため、 未使用額が発生しているが、研究は予定通り進んでいる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年3月の出張経費として処理済みである。
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Research Products
(5 results)