2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K13054
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川上 智子 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (10330169)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ウェアラブル端末 / 顧客価値 / 普及要因 / 実証研究 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,まず4月にシアトルのマイクロソフト本社を訪問し,ウェアラブル端末の開発者から市場動向に関する情報を入手するとともに,研究内容に関する意見交換を行った。 6月には,平成27年度に行った消費者対象の質問票調査のデータを基に執筆した論文をInternational Product Development and Management Conference (IPDMC)で報告した。イギリスのグラスゴーで開催されたこのカンファレンスにおいて,この論文は高い評価を得て,カンファレンス・ベストペーパーの候補に残った。内容は,ウェアラブル端末の購入意図が高齢者グループとより若い世代のグループとの間でどのように異なるかを明らかにした実証研究である。ウェアラブル端末が健康志向によって購入されるであろうという仮説に反し,高齢者層では,より情緒的な動機で購入される可能性が高いことが示唆された。 7月に香港で開催されたGlobal Marketing Conferenceではマーケティング分野の最先端研究に関する情報収集を行った。眼鏡型ウェアラブル端末であるJINS MEMEの開発者との情報交換も行い, 眼球の測定による運転サポートや集中力向上などのB2B用途の可能性について市場動向を調査した。2017年2-3月には,サンフランシスコ・シアトルに出張し,JINSのアメリカ支社,マイクロソフト本社他を訪問し,グローバルな市場動向について理解を深めた。 以上の情報を基に,3月には600名の消費者を対象に質問票調査の実査を行い,採択済みのカンファレンス論文を完成させた。当該論文は6月にアイスランドのIPDMCで報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度もおおむね計画通り進捗している。とりわけ,国内外のウェアラブル端末メーカーの担当者と情報交換を行って概念モデルを構築し,年度の後半に消費者対象の質問票調査を行って仮説を検証し,翌年6月の国際会議で発表するサイクルが順調に回っている。仮説づくりに実務家の知見が反映できていると同時に,検証結果に基づく議論で実務家に対する示唆を与えることができる双方向性に,この進め方の意義があると考えている。 昨年の調査以来,顧客としての高齢者層にとくに注目し,文献レビューや仮説構築も高齢者特有の消費行動を参考に行っている。その理由は,日本が高齢化先進国であり,高齢者を対象とした研究はグローバルな研究蓄積に貢献できるためである。同時に,実務面においても,高齢者ターゲットの製品開発がより重要度を増すと考えられるためである。具体的には,変化の回避,特定ブランドへのこだわり,情緒的価値の重視などの高齢者特有の消費行動の特徴が,ウェアラブル端末の普及にどう影響するかを検証している。 大きな方向性としては,年度を重ねるごとに,より重要な側面が明らかになり,焦点を絞った研究へと進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は最終年度であり,これまでの研究成果を振り返りつつ,昨年来進めている高齢者対象の研究をより推進する。6月にアイスランドで論文を発表し,世界各地から集まったイノベーションの研究者に専門的な観点からフィードバックを得る予定である。 また,本研究に先行する研究として,今年3月に刊行された電子書籍の普及に関する論文では,製品特有の要因だけでなく,社会制度的・文化的要因等も破壊的イノベーションの普及速度に影響することを明らかにした(Parry and Kawakami, 2017)。この論文は,Journal of Product Innovation Managementに掲載され,London School of Economics Business Reviewのブログページで紹介された。こうした自身の先行研究から得た知見も参考に,ウェアラブル端末の顧客価値を価値として認知させるフレームや規範をどのように形成すべきかについても,より広い視野から考察を行っていく予定である。 最終的には,ウェアラブル端末の普及による研究寿命の増進といった,社会的にも意義のある研究成果を視野に入れつつ,本年度の研究を進めていきたい。
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Research Products
(9 results)