2017 Fiscal Year Annual Research Report
Who is audited? Experimental study on rule-based tax schemes
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15K13057
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
上村 浩 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 講師 (10710189)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 税務調査スキーム / 納税意識 / 脱税 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ゲーム理論に基づいて合理的な税務調査スキームを展開し、実験室実験によって各々のスキームの有効性を分析することである。本研究では大きく3つの監査スキームを提示した。第1は、ランダム・ルールであり(Random)、ここでは監査人は被験者グループからランダムに1人の監査対象を決定する。第2はカット・オフ・ルールである(Cut off)。ここでは申告所得の額を階層化し、当該階層が低いほど監査を受ける確率が高く設定するものである。第3は被験者グループのうち最も低い申告所得を提示した被験者を監査対象とするものである(LILA)。 本研究では各々の監査スキームにおける理論値を計算し、被験者の予測される申告上の戦略を示し、これと実験結果を比較し分析している。理論上は、申告所得から得られる税収入(税率は20%)が最も高いスキームはCut offであるが(次はLILA)、脱税が発見された場合のペナルティー収入(ペナルティーは3倍)を考慮すると、合計の税収入はCut offが最も高く、次いでRandomであった。 実験グループは4人が構成され、タスクは20回の繰り返される。真の所得はコンピュータの画面上にランダムに示され、被験者はそれぞれ申告所得を申告し、監査対象となったか否かと同時に最終的な所得が計算され示される。本研究の主たる結果は以下のとおりである。①コンプライアンス・レート(CR: 申告所得/真の所得)は、LIRAと負の相関を有する。②LIRAの税収入が最も高い(Randomとは有意に異なる)。③被験者の納税意識(実験後のアンケート結果から測定)はCRと有意に負の相関を有する。④ペナルティーの経験は、後のCRと有意に負の相関を有する。 本研究における新たな発見事項は、LIRAの有効性を実証に基づいて明らかにした点と、被験者の社会的規範が納税の姿勢に影響することを示した点にある。
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Research Products
(1 results)