2015 Fiscal Year Research-status Report
グローバル時代のメディア倫理:人道主義、コスモポリタニズム、ケアの倫理の視点から
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15K13066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 香里 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (40292784)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メディア倫理 / ジャーナリズム / グローバル化 / デジタル化 / オーディエンス / 人道主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバリゼーションが進む現代、ジャーナリズムもグローバル化し、人道主義がマスメディアによって広められていくことが注目されている。遠くの国で起こっている戦争、災害、事件について人々はメディアを通して知ることになる。私は、この問題について、「ケアの倫理」からメディアの規範的役割の問題を考えてきた。初年度は、理論を中心に文献収集をするとともに、その基礎となる英文論文を執筆、提出して、来年度にはBook chapterとなる予定である。(Rethinking Journalism Vol. II:The Societal Role & Relevance of Journalism in a Digital Age. Editors: Chris Peters and Marcel Broersma, University of Groningen.) さらに、2016年6月福岡で開催されるもっともコンペティティヴな国際メディア・コミュニケーション学会International Communication Association(ICA)に“Comparative Global Assessment of the Media Coverage of Japan’s “Comfort Women” Issue”というタイトルで、日本の帝国主義による慰安婦問題に関するグローバルな言説の流通と人道問題について考えるパネルセッションを組んで応募したところ、査読に通った。慰安婦問題は、日本が問題提起する女性の権利と人道主義に関する代表的なテーマであるが、この問題はこれまで国内メディアの問題に限定されて語られてきた。この機会に内外の文献を集めつつ、これをグローバルなメディア倫理の研究として進めていき、国際学会での発表準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は文献収集を集中的に行った。また、収集した文献の整理にも時間を費やして、今後の分析作業に入る予定である。また、英文論文一本、国際学会パネル一件が査読に通り、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年は在外研究の機会を利用して 1)米国でネット・ジャーナリズムとグローバリゼーションの動向について調査し、それがもたらす人道意識、規範意識の変化を探る。 2)英国で人道主義運動とメディアの関連について、テーマの最新動向について調査する。
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Causes of Carryover |
来年度にドイツおよび英国に訪問するため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ドイツおよび英国訪問費用 50万円
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