2017 Fiscal Year Annual Research Report
Media ethics in the age of globalization: with the exploration of humanitarianism, cosmopolitanism and the ethics of care
Project/Area Number |
15K13066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 香里 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (40292784)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メディア倫理 / ケアの倫理 / 人道主義 / マイノリティ / 表現の自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はデジタル情報化、グローバル化の中、メディアの倫理について、コスモポリタニズムと人道主義の観点から検討を試みるものである。 最終年度は本研究成果をもとに、いくつかの社会への問題提起を行った。まず、女性やマイノリティにおける性的表現について考える産学連携のシンポを2度開催し、本研究の成果とした。最初に2017年5月20日に「「これってなんで炎上したの?」「このネタ、笑っていいの?」メディアと表現について考えるシンポジウム 」を開催。さらに、2017年12月16日には、「「徹底検証 炎上リスク―そのジェンダー表現はアリか」をいずれも東京大学で開催した。さらに、国際的なメディア倫理の問題を扱った『メディア不信―何が問われているのか』(岩波新書)も上梓し、メディアの倫理を国際的視点から社会に問うた。 以上の企画は、NPOジャーナリズム団体・Marshall Projectがレイプに関する詳細な調査報道をして2016年のピューリッツアー賞に選ばれた(An Unbeliebable Story of Rape)こと、そして、米国をはじめ西欧社会では、こうした女性に対する性的暴力をもっとも根源的な人権問題としてジャーナリズムに積極的に取り上げ、コスモポリタン的連帯によって広げていく努力をしていることを、2016年の米国滞在で学んだ知見に基づくものである。たまたま2017年に盛り上がった“Me too" ムーブメントは、一人の女性の内部告発がきっかけではあるが、その広がりは偶然のものではなく、こうしたコスモポリタン的人権意識の延長線上にある。以上を背景にして、最終年は上記の3つを企画、実践した。
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