2015 Fiscal Year Research-status Report
自衛隊広報のエンターテインメント化に関するフィールドワーク研究
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15K13072
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
須藤 遙子 早稲田大学, 政治経済学術院, 研究員 (60439552)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自衛隊広報 / 自衛隊イベント / 自衛隊協力アニメ / アメリカ軍広報施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、当初の計画通りに、陸・海・空それぞれの自衛隊のメインとなる広報施設および大型イベントを中心に、フィールドワークを行った。具体的に行った調査は、東京方面では、防衛省市ヶ谷台ツアー、陸上自衛隊広報センター「りっくんランド」、防衛大学校見学ツアー、静岡方面では、平成27年度富士総合火力演習、航空自衛隊浜松広報館「エアーパーク」、広島方面では、海上自衛隊第1術科学校、艦艇公開「護衛艦さみだれ」、海上自衛隊呉史料館「てつのくじら館」、大和ミュージアム、入船山記念館、の合計10カ所である。 また、並行して行っている基盤研究Cの調査においてワシントンに行った際、近隣にあるメリーランド州アナハイムのアメリカ海軍兵学校見学ツアーにも参加し、本研究を深めることができた。 さらに、茨城県大洗町が官民一体となって盛り上げているアニメ『ガールズ&パンツァー』の劇場版が2015年11月に公開されたので、その視聴も行った。この映画は、2016年4月現在でも引き続き上映されており、興行収入18億円を突破する大ヒットとなっている。爆発的というよりは、非常に長い期間に渡ってリピート視聴が多いという特殊なヒット形態をとっているため、マスコミでどのように広告・報道され、またヒットの主たる要因となっているウェブ上での口コミがどうなっているかなど、詳細に調査を続けているところである。 成果の公開としては、2015年4月より大月書店メールマガジンにて「愛妹通信――自衛隊広報レポート」というタイトルで、毎月1回調査した施設・イベントをエッセイ形式で報告している。本研究終了時まで、今後も継続して執筆する予定となっており、終了した際には書籍としての刊行を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、当初予定したよりも多くの施設やイベントを調査することができた。ただし、計画していた海上自衛隊佐世保史料館(通称セイルタワー)と、10月に神奈川県横須賀港沖で開催された海上自衛隊観艦式へのフィールドワーク調査は行うことができなかった。 今年の収穫としては、予定していなかったアメリカの軍事広報施設の見学ツアーに参加することができたことである。日米同盟を基盤とする自衛隊のあり方を考察するうえで、非常に重要な示唆を得ることができた。基盤研究Cのアメリカ調査と重なってしまったため、平成27年度の観艦式を調査できなかったのは大変残念ではあったが、それを補って余りある成果があったと考えている。 アウトプットとしては、研究当初より大月書店のメールマガジンにて、3年後の単行本刊行を前提に月1回の調査報告リポートを掲載している。一般読者向けのエッセイの形式をとってはいるが、毎回の調査を写真とともに整理することが可能となっており、進捗状況を把握しやすい。また、毎月掲載のため、計画的に調査を継続せざるを得ず、調査研究の遅延を防ぎ、当初の予定以上に調査対象を拡大する要因ともなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画によると、本年は、沖縄・中国地方・近畿地方・北海道のフィールドワーク調査を行うことになっている。沖縄では、特に米軍基地との関係、連携などがどうなっているかを重点的に調査する。中国地方は広島地方協力本部の管轄であり、出雲・米子・日本原・海田市・山口市などに駐屯地がある。舞鶴を中心とした近畿地方と北海道のフィールドワーク調査は、夏季休暇を利用して行いたい。舞鶴は、2013年に公開された人気アニメの劇場版『名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)』のなかでコナンや自衛隊と某国のスパイが攻防する舞台となった場所で、アニメで描かれたようにイージス艦など主要な艦隊が寄港する防衛の重要拠点である。北海道=北部方面隊には地域によって4つの師団に分かれており、その中にさらに複数の分屯地がある。例年最もスクランブル発進の多い対ロシアの重要拠点であることがどのように影響しているかに注目する。スケジュールを工夫し、4つの師団全てを巡る方針である。 ただし、研究者が就職のために九州に拠点を移しているため、九州内の自衛隊広報イベントや施設を重点的に調査する可能性も高い。よって、本年は3年間で「全国」を網羅することを意識しつつ、調査の順番自体は柔軟に対応していきたい。 10月に朝霞駐屯地で開催される陸上自衛隊観艦式へのフィールドワーク調査は、確実に行うつもりである。
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