2016 Fiscal Year Research-status Report
自衛隊広報のエンターテインメント化に関するフィールドワーク研究
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15K13072
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
須藤 遙子 筑紫女学園大学, 現代社会学部, 准教授 (60439552)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自衛隊広報 / 自衛隊イベント / 自衛隊協力映画 / 旧日本軍施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自衛隊広報センターと広報イベントのフィールドワークを通し、1990年代半ば以降に積極化してきた自衛隊広報戦略の内容と経緯を実証的に考察するのが目的である。本年は、研究拠点が早稲田大学から福岡県の筑紫女学園大学に移ったことから、九州・中国地方を中心にフィールドワークを行うこととなった。当初の計画では、本年度に沖縄・近畿・北海道での調査を行うことになっていたが、29年度の調査と一部入れ替えるかたちでこれらの地域は29年度で調査する予定である。 具体的に行った調査は、九州では航空自衛隊春日基地・板付飛行場・芦屋基地、陸上自衛隊久留米駐屯地・南福岡駐屯地、海上自衛隊佐世保史料館、第12回させぼシーサイドフェスティバル2016、陸上自衛隊第4師団 第4音楽隊第41回定期演奏会の8箇所、中国地方では防府南基地・開庁記念行事、防府北基地・防府航空祭2016、出雲駐屯地創立63周年記念行事・市中パレードの3箇所、東京の陸上自衛隊朝霞駐屯地での中央観閲式、の合計12箇所である。これに加え、自衛隊の施設ではないが、旧陸軍の飛行場跡にある大刀洗平和記念館と記念館主催の戦跡めぐりを行った。 成果の公開としては、2015年4月より引き続き大月書店メールマガジン「愛妹通信――自衛隊広報レポート」というタイトルで、毎月1回調査した施設・イベントをエッセイ形式で発表している。本研究終了時まで、今後も継続して執筆する予定となっており、終了した際には単行本としての刊行を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度も、昨年度に引き続き当初の予定よりも多くの施設やイベントを調査することができた。大きな収穫としては、福岡県内・近隣の自衛隊広報イベントを重点的に調査することができたこと、また戦車・ヘリコプター・特殊ボートなどの試乗体験により、自衛隊イベントを「消費」する市民がどういう層でどういうメンタリティーなのかを実感することができたことである。 ただし、東京での防衛研究所における文献調査を行うことができなかったので、29年度の課題としたい。 アウトプットとしては、研究当初より大月書店のメールマガジンにて、3年後の単行本刊行を前提に月1回の調査報告リポートを引き続き掲載している。一般読者向けのエッセイの形式をとってはいるが、毎回の調査を写真とともに整理することが可能となっており、進捗状況を把握しやすい。また、毎月掲載のため、計画的に調査を継続せざるを得ず、調査研究の遅延を防ぎ、当初の予定以上に調査対象を拡大する要因ともなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は最終年度となり、これまで調査できなかった北海道・東北・中部・近畿・四国・沖縄などを調査する必要がある。北海道は雪まつり、東北・北関東は百里基地で行われる航空自衛隊観閲式とアニメ『ガールズ&パンツァー』の舞台である大洗、中部地方は小牧基地・岐阜基地でのイベント、かかみがはら航空宇宙博物館を中心に、近畿は海上自衛隊舞鶴海軍記念館・第23航空隊等の見学、四国は善通寺駐屯地、沖縄は米軍と共催のイベントなどを予定している。 イベント開催は日にちが限られるため、本務との調整が必要となってくるが、しっかりと「全国」を調査できるよう努力していきたい。
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