2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13080
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
石田 淳 大阪経済大学, 人間科学部, 准教授 (40411772)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 数理社会学 / 計量社会学 / 社会意識 / ベイズモデル / 所得分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、社会意識形成メカニズムを解明しその実態を記述するために、ベイズモデルを応用した分析モデルを提案し、主に所得分布イメージと所得評価に関する経験的データの分析に応用することである。 今年度はまず先行研究のレビューを重点的に行った。これまでの社会意識研究の歴史と問題点を洗い出すと同時に、ベイズ統計学、ベイズ認知モデルについて集中的にレビューした。そして、これらを前提として、ベイジアン社会意識分析モデルの枠組みの構築と精緻化に取りかかった。こうした精緻化を受けて、本プロジェクトに関連する入手可能なデータに基づいて、ベイジアン社会意識分析モデルの枠組みを実験的に導入した分析をいくつか試みた。 まず、2015年階層と社会意識全国調査(SSP調査)データより、平均所得イメージ項目を用いて、その背後に想定される間主観的な所得分布イメージを抽出する分析を実施した。具体的なモデルとしては、所得分布イメージが対数正規分布に従うと仮定した階層ベイズモデルを用いた。この成果は、まず2016年3月の数理社会学会で報告された。また、社会階層と社会移動全国調査(SSM調査)の過去データを用いて、階層帰属意識、階層分布イメージに関する分析もそれぞれ実施した。 このように、既存調査データを用いたベイジアン社会意識分析モデルの枠組みを活用したさまざまな分析が可能であることがわかった。そこで、まずはそれらの分析を優先して追求するために、当初実施を計画していた所得分布イメージについての独自インターネット調査については、実施時期を遅らせるか、場合によっては実施を見送ることも考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベイジアン社会意識分析モデルの枠組みの構築と理論的精緻化、既存調査データを用いたベイジアン社会意識分析モデルの応用研究において一定の進捗があった。
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Strategy for Future Research Activity |
既存調査データを用いたベイジアン社会意識分析モデルの応用研究をまとめ、公表することを直近の第一の課題とする。その際、認知社会学や社会的イメージについての理論的基礎を固めた上で、人々の意味世界を扱う「真の計量社会学」としてのベイジアン社会意識分析モデルを打ち立てることを目指す。 当初計画していたインターネット調査の実施と、実施する場合のデザインについては、その費用対効果も勘案して慎重に検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた資料収集・整理にかかる人件費の支出がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度分と合わせて有効に使用する。
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