2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Cross-Cultural Study of Older Women's Experiences with Physical Decline
Project/Area Number |
15K13083
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
川畑 摩紀枝 関西国際大学, 保健医療学部, 教授 (60177730)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 女性 / 要介護 / 在宅 / 社会的要因 / 生活の質 / 身体機能 / ナラティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は身体機能の変化(低下)を体験する地域で生活する高齢女性の生活の質(QOL)やWell-beingがその高齢者の社会的・文化的立場(文脈)からどのような影響を受けるのか、日本とカナダの地域で生活する高齢女性の比較を通して明らかにしようとした試みである。データのは日本では21名、カナダでは16名の同意の得られた対象者の自宅を訪問し面接調査で収集した。複数の分析手法を用いた。まず、関連する社会文化的要因の内容の分析には、ナラティブ分析のテーマ分析を用いた。一方、これらの要因がどのように影響しているのかを明らかにするためにナラティブ分析のパフォーマンス分析の手法(positioning analysis )を用いた。最初のテーマ分析から地域で生活する要介護の高齢者の生活の質やWell-beingには「家族の関係性」「公的介護サービス」「本人の経済状況」「社会参加の機会」「社会的ネットワーク」等が関与していることが明らかになった。次のパフォーマンス分析では対象者が面接者との自然な会話を通してどのように「自己」を表現するかを明らかにし、その過程でどのような社会・文化的な要因が影響しているかを分析した。結果、過去の獲得した性役割、現在の高齢者政策の背景にあるSuccessful agingの考え方、また健康政策で強調される個人責任論(健康は個人の努力で作られるという考え方)が高齢女性が身体機能の変化に応じて構築する新たな自己(アイデンティティ)のあり方に影響していることが明らかになってきた。現在、カナダの結果と比較するために、研究協力者との共同分析によりカナダ側の高齢者の詳細な分析を進めている段階である。カナダ側のデータの分析が修理し、日本側のデータと比較することで新たな要因が抽出されることが期待される。
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Research Products
(4 results)