2015 Fiscal Year Research-status Report
生活保護世帯における定時制高校生への修学継続・就労支援モデルの構築
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15K13087
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
内田 充範 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (80448802)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク視点 / ネットワークモデル / コレクティブ・アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年7月、A市が定時制高校においてカフェ形式で実施している学習支援事業を訪問し、その様子を観察するとともに、参加生徒、カフェ事業のコーディネーター、定時制高校教諭から聞き取りを行った。さらに、同年11月に再訪問し、学習支援スタッフから聞き取りを行った。これらに加えて、2014年度の事業報告書の内容を松端の提示するコレクティブ・アプローチ展開プロセス例を用いたコレクティブ・アプローチの8項目にそって、定時制高校学習支援プロジェクト事業の展開プロセスを検証した。 平成27年8月、B県C市の生活保護世帯の定時制高校生へのインタビュー調査を実施し、その内容について、質的研究の手法を用いて、定時制高等学校への修学を継続していくためには何が必要かその構造を明らかにした。分析の結果、まず、生活保護世帯の定時制高校生が現在順調に修学を継続している要因として、[自分のことを思ってくれる人の存在]、[環境の変化]、[学習内容の理解]、[就職への意欲]、 [自己管理能力の修得]の5項目に整理し、その構造を明らかにした。次に、これらの修学継続要因を促進する支援者のかかわり方から、否審判的態度、傾聴の姿勢に基づくパートナーシップ、エコロジカル視点に基づく個別化によるエンパワメント支援、自己肯定感の醸成へとつながるストレングス視点、自己選択・自己決定というソーシャルワーク視点を考察するとともに、それらの視点をふまえて、定時制高校生の修学継続を促進させている家庭、学校、福祉事務所(公的機関)、社会資源から形成されるネットワークモデルを提示した。 平成27年12月~3月、B県の生活保護世帯高校生に高校修学に関するアンケート調査を実施した。また、平成28年3月D県の定時制高校生支援者にインタビュー調査を実施した。この2調査については、今後、集計・分析等を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に予定していたA市の学習支援プロジェクトの実施状況の調査・分析を行い、大学紀要に論文として公表した。また、C市の生活保護世帯の定時制高校生3名に修学継続要因等に関するインタビュー調査を実施し、その分析結果を日本社会福祉士会全国大会において研究発表予定である。さらに、A市では実施できなかったが、B県の生活保護世帯高校生に高校修学に関するアンケート調査を実施しており、今後その集計・分析を行う予定としている。 一方で、当初予定していたE市の定時制高校生への支援については、調査等が実施できておらず、平成28年度の実施方法を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年12月~3月に実施したB県の生活保護世帯高校生に高校修学に関するアンケート調査および、平成28年3月に実施したD県の定時制高校生支援者へのインタビュー調査の内容について、集計・分析等を実施し、論文として公表する予定である。 また、当初予定していたE市の定時制高校生への支援について、実施主体であるNPO法人等の協力を得て実施する予定である。 なお、平成27年度に実施した生活保護世帯の定時制高校生インタビューの研究成果については、日本社会福祉士学会での発表が決定しており、研究を深めたうえで論文執筆する予定である。 最終的に、2年間の研究成果に基づいて、生活保護世帯の定時制高校生への修学継続・就労支援モデル(生活保護自立支援プログラム)を策定する。
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Research Products
(3 results)