2015 Fiscal Year Research-status Report
盲導犬とユーザーを迷惑・犯罪行為から守るための社会的方策に関する研究
Project/Area Number |
15K13091
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
横山 穰 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (20244676)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 盲導犬 / 盲導犬ユーザー / 迷惑行為 / 犯罪行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年12月に九州盲導犬協会の盲導犬歩行指導員2名に対して聞き取り調査を実施した。盲導犬ユーザーに対する迷惑行為や犯罪行為の事例として、電車内における痴漢被害、飲食店や食料品店での入店拒否、ホテルや旅館等における宿泊拒否、飲食店における特別扱い(冬期間における外のテラスでの飲食強要)や満席偽装による入店拒否、歩道通行中の進路妨害等が明るみとなった。また、盲導犬に対する犯罪・迷惑行為としては、たばこの押し付けによる火傷被害、他の犬が近寄ってくるなどの業務妨害等の被害が明らかとなった。歩行指導員の視点から、依然として、一般社会において盲導犬に対する無理解や無知がおり、ある種の盲導犬に対するステレオタイプが存在するとの指摘がなされた。その具体例として、1)盲導犬は何事にも動じないし、忍耐強いように訓練されている、2)盲導犬の活躍を引き合いにして美談化するマスコミの姿勢(引退場面や別れの場面を強調する)3)盲導犬を滅私奉公的な動物と見なす、4)盲導犬を可哀想な存在と見なす、などである。また、社会的な背景として、近年中途失明者が増加する傾向にある一方で、先天性の失明者は減少する傾向にあり、盲導犬ユーザーの高齢化が急速に進んでいることや、犬を擬人化する(人間の感情を読み取れることを強調する社会的傾向)などにより、盲導犬に対する役割期待に変化が見られることが明らかとなった。平成28年3月には、福岡市に居住する盲導犬ユーザー2名に対して、聞き取り調査を行った。交通事故被害(バックしてきた車にひかれ重傷を負う)や交差点の横断歩道を渡る際の音声信号への対応の困難さ、飲食店への入店拒否や宿泊施設の利用拒否、バスの降車時における自転車との衝突事故、JR駅のホームからの転落事故、バスの降車時におけるバス運転手の無言対応、放し飼いの犬による吠えかかり等の迷惑等の事実が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は九州盲導犬協会の協力を得て、盲導犬ユーザー及び盲導犬歩行指導員に対する聞き取り調査を実施することができたものの、その他予定していた北海道盲導犬協会等の協力を得て聞き取り調査を実施することができなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に実施できなかった北海道盲導犬協会はじめ、その他の全国にある盲導犬協会等の協力を得て、盲導犬ユーザー及び盲導犬歩行指導員に対する聞き取り調査を継続して実施する予定である。今年度も継続して、盲導犬およびユーザに対する迷惑行為や犯罪行為の実態について明らかにするとともに、今後の対応策についても明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
九州盲導犬協会の協力を得ての盲導犬ユーザーと盲導犬歩行指導員に対する聞き取り調査が実施できたものの、その他予定していた盲導犬協会の協力を得ての調査研究が遂行できなかったことにより、旅費及び謝礼金において残額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に実施できなかった北海道盲導犬協会はじめ、その他の盲導犬協会の協力を得て、盲導犬ユーザーおよび盲導犬歩行指導員に対する聞き取り調査を実施することで、予算の執行を行う。
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