2015 Fiscal Year Research-status Report
五感による視覚障害者のための歩行訓練の手法に関する研究
Project/Area Number |
15K13093
|
Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
安部 信行 八戸工業大学, 感性デザイン学部, 准教授 (30433478)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 視覚障害者 / 五感 / 歩行訓練 / ロービジョン / 中途失明 / 眼科医 / 歩行訓練士 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は、視覚障害者の五感を利用した総合的な歩行訓練の手法について構築していくことであり、現状の歩行訓練の課題を整理することが研究計画の柱であるが、平成27年度は社会適応訓練の現状整理と課題の抽出を中心に行った。 関係機関への調査に関しては、日本盲人会連合や盲学校を中心に聞き取り調査を行った。研究の初段階で、研究の性質上、眼科医との連携が必須であることが明らかとなり、眼科医を中心に視覚障害者の社会適応訓練等に関して研究活動を実施している研究会にも参加し、現在の課題について調査を行った。その結果、先ず、歩行訓練に関しては特にその制度がしっかりと確立していないこと、盲学校は生徒の人数が減少傾向にあるのに対して、少子高齢化に伴い、高齢者をはじめ中途失明者が増加傾向にあることで、中途失明者向けの歩行訓練も含めた社会適応訓練の必要性が明らかとなった。また、歩行訓練士の制度自体が確立しておらず、青森県内に限っては、歩行訓練士の有資格者は2名のみであること、歩行訓練士が盲学校の生徒以外に歩行訓練を実施することは可能であるが、授業時間以外に実施しなければならないことや、歩行訓練士の負担も多いことが分かった。よって、中途失明の視覚障害者は歩行訓練の受け入れ先が確立されておらず、社会復帰するための制度を整備していくことが必要であるといえる。 歩行訓練士に対する調査からは、日常的に外出する際の歩行訓練も重要であるが、非常時、特に震災時などへの対応が必要性があり、防災訓練に関する調査も重要であることが明らかとなり、盲学校における避難訓練の実態などを調査した。そこで新たな課題も明らかとなったので、次年度の研究で検討したい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視覚障害者の社会適応訓練の現状整理と課題の抽出については、根本的な課題が解決されていないことが明らかとなり、国内の歩行訓練の制度に関して、さらに掘り下げて現状整理と課題抽出を実施しなければならないことが分かった。 よって海外における視覚障害者の社会適応訓練の実態調査については次年度以降に実施することとした。 国内の社会適応訓練の実態について、単に歩行訓練の整備の必要性について明らかとなっただけではなく、防災としての視点も重要と分かり、その実態について調査研究を進めることができたことから、進捗状況としては、おおむね順調といえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに社会適応訓練の現状整理を掘り下げて調査し、それらを整理し課題抽出した上で海外における社会適応訓練に関しても調査を進めていく。 また、今後は研究計画にもあるように、聴覚による歩行訓練手法構築のための実験・検討を実施していく。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、予定していた海外調査を実施できなかったこと、それに伴う通訳料が発生しなかったことである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降に海外調査を実施する。また、実験としては、聴覚錯誤による事故防止のための聴感実験を実施する。
|