2017 Fiscal Year Annual Research Report
Decision-making based on social conventional rules in elderly people
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15K13116
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
江口 洋子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 研究員 (70649524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 英嗣 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (50711595)
成本 迅 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30347463) [Withdrawn]
加藤 佑佳 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60729268)
川脇 沙織 (田中沙織) 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究室長 (00505985)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高齢者 / 意思決定 / 心理特性 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、振り込め詐欺や経済的虐待など、高齢者の経済的な自立を脅かす問題が増加している。この背景として、他者を善人または悪人であるかを正しく判断する能力の低下、高齢者特有の特性によるリスク認知の変化、加齢による脳機能の低下や認知症発症による認知機能の低下の、いずれか、またはそれらが相互に関連していることが考えられる。 本研究では、高齢者に対して他者の意図の推論に基づく善悪の判断課題を実施することにより、高齢者の善悪の判断の特徴を明らかにすること、機能的MRIを用いて加齢よる善悪判断の脳神経ネットワークを検証すること、他者に対する善悪の正しい判断能力を向上させるための心理的介入教育を試みることを目的として行った。 行動実験の結果から、ある人物に関して即時に判断する課題では、高齢者は若年者よりも、人物に対して善であると考える傾向が高く、また人物を判断する際には人物特性よりも行動から善悪判断を行う傾向があることが明らかになった。しかしながら、複数の人物を見比べて判断する課題では、つまり比較対象が存在すると、若年者と似た判断をすることが明らかになり、高齢者の判断の誤りは、時間をかけたり比較対象があることで軽減される可能性が示唆された。さらには、詐欺脆弱性と自己効力感との関連が示唆された結果を得た。また健常高齢者6名を対象にこの善悪の判断課題に関するfMRI実験を行い、脳神経ネットワークを検証中である。 詐欺に遭う機会が多いと考えられる高齢者を対象として、これまでに得られた結果から、高齢者の詐欺に対する構えの構築、行動変容を促すための心理的教育を含んだ探索的な講習会を実施した。講習に参加し、詐欺事件に関する知識の共有から、詐欺防止に関する行動が見られた者もいたが、自己意識の変容を生じさせるまでには至らなかった。
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Remarks |
江口洋子, 振り込め詐欺などの被害をまなぶ会. 相模原市, 2018年2月15日
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Research Products
(18 results)