2015 Fiscal Year Annual Research Report
環境プライムとしての脳フィードバックの希望力増進への有効性の実験的検討
Project/Area Number |
15K13125
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 香 山形大学, 人文学部, 准教授 (50183827)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳フィードバック / 希望力 / 環境プライム |
Outline of Annual Research Achievements |
人間は、目標を設定する時、その目標が達成できるという期待感を持つ。それは希望と呼ばれる。希望は、目標達成の基盤をなす重要な要因である。本研究では、人間の強みである希望を持つ能力(希望力と呼ぶ)を育む方法の開発に向けて、脳フィードバック法を試作した。脳フードバックとは前頭前野の活動をリアルタイムに直接的に当人にフィードバックするという、研究代表者が独自に考案した方法である。ここでは、当該方法で希望力を増進させる可能性を実験的に探った。環境プライム(行動や感情のきっかけ)としての脳フィードバックにより前頭前野活動に関する自己認識を高め、希望力増進がなされるか、その有効性を、条件型計画策定過程、状態希望および前頭前野活性化状況から実験的に検討することを目的とした。 この目的の達成のため、小型脳活動測定装置で測定される前頭前野活動が条件型計画策定課題遂行時に提示される場合とされない場合の、計画策定内容、状態希望評定値および前頭前野活性化状況を検討する実験研究を実施した。具体的には、測定される脳内反応の表示画面の被験者へのリアルタイムの提示によるフィードバックの有無を操作し、条件型計画策定の内容および状態希望尺度評定値から推定される希望力の向上への有効性を実験室実験で検討した。被験者は、小型脳活動測定装置を装着して仮想ストーリー事態での目標達成への計画策定に関する判断を求められた。実験結果は、 脳フィードバック条件で課題遂行後の状態希望の正の変化と条件型計画策定の内容の充実傾向が強く、傾向に留まるものの、脳フィードバックが目標達成のための方法をより充実させ、状態希望向上を促すこと、即ち、脳フィードバックが希望力増進に有効である可能性が示唆された。
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