2017 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the development mechanism of pubertal behaviors based on biological factors
Project/Area Number |
15K13132
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齊藤 誠一 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60186939)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 思春期 / ネガティブな切迫性 / 刺激欲求 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究結果をもとに以下の2つの研究を行った。 1.思春期に顕著な問題行動である自傷行為やリスクテーキング行動の前駆状態であるこれらの欲求の生起に対して,脳発達の特徴を反映するネガティブな切迫性と刺激欲求がどのような影響を与えるか検討したところ,強い説明力ではないものの,男性では自傷欲求,リスクテーキング行動欲求に対してネガティブな切迫性,刺激欲求が有意な影響をもち,女性では自傷欲求に対してはネガティブな切迫性が,リスクテーキング行動欲求に対しては刺激欲求が有意な影響をもつことが明らかにされ,これらの欲求から具体的行為に移行させないための防御要因の必要性が示唆された。 2.自己破壊的行動に関連するネガティブな切迫性と健康を増進する要因である首尾一貫感覚との関連について検討したところ,ネガティブの切迫性と首尾一貫感覚の要素である処理可能感との間に有意な直接的関連, 首尾一貫感覚によって動員される資源であるマインドフルネスを介してのネガティブな切迫性と処理可能感との間に有意な間接的関連が示され,脳内成熟のギャップという生物学的要因から生じるネガティブな切迫性が,首尾一貫感覚やマインドフルネスという意識的心性によりある程度低減させることができることが明らかになり,こうした意識的心性を高める介入の有効性が示唆された。 本研究課題全体の成果として,危険行動,自傷行動など病理的徴候を示す思春期行動の発現が,この時期の脳の成熟特性を示すネガティブな切迫性や衝動欲求との関連が認められ,これらが心理的介入により低減できる可能性が明らかにされた。しかしながら,これらの思春期行動とそれまでの発達段階で発達的脆弱性を形成する虐待,いじめなど過去の逆境経験をリスク要因や,脳発達が促進する実行機能を防御要因との関連については今後の課題として残された。
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Research Products
(3 results)